前四半期以降、世界経済の減速懸念が高まっている。当初は米中間の貿易論争に過ぎなかったが、現在ではより広範な貿易摩擦に発展しており、この問題は新たな分野に拡大するリスクもある。また、米国の景気後退観測、ユーロ圏の景気減速傾向、中東情勢の緊張の高まりによる原油価格のボラティリティの上昇なども市場の波乱材料となっている。こうした懸念があるにもかかわらず、世界経済は今後も底堅い成長を続けると当社は予想している。その理由としては、米国経済が着実に成長していること、欧州の経済状況が改善していること、アジア各国で金融緩和策・財政刺激策が維持されていることなどが挙げられる。貿易摩擦を背景に投資家心理や企業景況感が悪化する恐れはあるものの、世界各国の中央銀行はダウンサイドリスクの抑制に向けて追加金融緩和策を打ち出す姿勢を鮮明に示している。

「アウトルック」セクションでは、当社の世界経済の見通しの背景にある主な要因、当社のグローバル総合型債券運用におけるポジションの具体例および今日の市場でどこに価値があると見ているかの詳細な説明を提供する。

主要ファクター
米国:差し迫った景気後退リスクは無い

2019年の米国のGDP成長率は1.75%~2.00%のレンジになると予想、4月時点の成長率見通し(2.00%~2.25%)からやや下方修正している。当社は、製造業や住宅建設における活動の減速を予想していたが、実際に減速が確認されている。さらに、小売売上高の伸びがやや鈍化しているため、製造業の活動は当社が今年初めに予想した以上に減速している。設備投資、輸出、及び在庫なども減少しているが、大幅に減少しているわけではなく、景気後退を示唆する水準では全くない。住宅着工件数についても、2018年には約10%減となったが、2006年~2008年の30%減と比べればそれほど深刻な状況ではない。したがって、2019年の成長率は2017年~2018年の水準を下回ると予想しているが、景気後退リスクはほとんどないと見ている。

FRBは、インフレ率が近いうちに2%かそれ以上に上昇するとの楽観的な見方を示しているが、こうした見方を裏付ける確かな根拠は少ないように思われる。当社が最近発行した「インフレ率低下がFRBを動かす」でも述べたように、FRBは様々な措置を講じているにもかかわらず、名目支出の伸びは高まっていない。したがって、持続的な物価上昇や持続的な経済成長が抑えられている。コア個人消費支出(PCE)インフレ率はここ数ヶ月にわたり年率1.4%前後で推移しているが、今後もこの水準を維持するかどうかは確かではない。FRBは最近のコアPCEの動きが一時的なものであると見ているが、実際のところそうではないように思われる。インフレ率はFRBの目標である2%を下回って推移する可能性が非常に高いと当社は考えている。インフレ率が目標を下回って推移する期間が長引けば長引くほど、そうした状況の解消に向けて今後の政策運営を行うようFRBに対する圧力も強まる。FRBは最近、物価目標の見直しを検討しており、インフレ動向が大きく注目される。

欧州:過度な悲観は禁物

ドイツとユーロ圏全体の成長率は2018年下半期に非常に低い水準となったが、今年に入ってから改善しており、市場予想を上回っている。業界固有の問題や、特に自動車セクターに悪影響を及ぼす問題が解消され始めたことなどが成長率の押し上げ要因となっている。景気先行指標も改善しており、1月につけた低水準から回復している。ドイツを含むほとんどのユーロ圏諸国では、旺盛な内需が経済をけん引しており、製造業セクターの低迷が長引く中でも、内需への影響は今のところ限定的となっている。

ドイツを含むほとんどのユーロ圏諸国では、旺盛な内需が経済をけん引している。

欧州の労働市場は、ドイツを含む一部の国ではやや悪化しているものの、全体としては底堅く推移しており、所得の伸びが個人消費を支えている。これまでのデータや先行指標などを勘案すると、今年のユーロ圏の成長率は1%前後になると予想する。これはそれほど高い数値ではなく、これまで5年連続で潜在成長率を上回っていたが、2019年はやや下回ると考えられる。これに基づくと、市場は景気後退懸念を過度に織り込んでいると当社は考えている。さらに、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁はポルトガルのシントラで最近開催されたECB年次フォーラムで演説を行い、追加緩和に踏み切る用意があることを明確に示唆した。

外的なマイナス要因を引き続き注視し、特に世界的な貿易摩擦の深刻化を注意深く見守っているが、投資家はユーロ圏や世界の景気見通しに対して過度に悲観的な見方をしていると考える。2019年下半期において、貿易摩擦の急激なエスカレート、または米国及び中国の経済活動の大幅な落ち込みがないと仮定すれば、先進国市場の債券利回りは悲観的な見通しを過度に織り込んだ水準であり、先進国市場ではドイツ国債が最も割高に評価されていると見ている。

アジア:中央銀行は必要な措置を講じる用意がある

2019年7~9月期のアジア経済については、貿易摩擦問題が経済活動に悪影響を及ぼす状況が続くと予想する。具体的には、アジアからの輸出が減少し、経済成長が徐々に鈍化する可能性があると見ている。ただし、全面的な貿易戦争が勃発し、ハイテク分野の覇権争いを背景にIT産業のサプライチェーンが崩壊し、企業景況感が悪化した場合、当社のやや弱気シナリオよりも厳しい状況となる恐れがある。しかし、アジアではインフレ率が低水準で推移しているため、アジアの中央銀行には利下げ余地があり、景気減速に対応することが可能である。大幅な利下げが可能な国としては、実質金利の高い国(例:インドネシアやフィリピン)や、対外収支が良好な国(例:韓国)などが挙げられる。

米中間で貿易戦争やハイテク分野の覇権争いが激化しているが、中国がどのような対抗措置を講じるかは現時点で明確ではない。当社の基本シナリオでは、中国当局は財政措置を講じると予想する。例えば、中国の地方政府が特別債の発行で調達した資金の使途に関する制限が緩和される可能性がある。米中貿易交渉の難航や、金融の安定性に対するリスクなどを踏まえると、大規模な金融緩和や通貨切り下げなどの可能性は低いと予想する。従来型の緩和(例:社会融資総量や固定資産投資による措置など)では将来的に不均衡が生じる恐れがあるため、非上場企業やインフラを対象とした追加金融緩和策が実施されると予想する。中国の経常黒字は縮小しているものの、主要インデックスにおける中国の債券や株式の採用に伴い、外国資本の流入が増加すれば、資本収支が改善することになる。

予想グローバル成長率
コモディティ:地政学的緊張を背景に原油価格のボラティリティが上昇

原油価格は底堅く推移した。背景として、原油需要の堅調な伸び、米国の産油量が伸びている一方で、石油輸出国機構(OPEC)とロシアが減産合意を遵守していること、原油供給の途絶、及び地政学的リスクなどが挙げられる。したがって、ファンダメンタルズに基づくと、長期的に状況は均衡に向かうと予想する。ただし、米中間の貿易交渉の行き詰まりによるマクロ需要懸念の高まり、現在の景気サイクルの局面、ベネズエラに対する経済制裁、中東における緊張の高まりなどを背景に、原油市場のボラティリティが高まっている。特に中東情勢の緊迫化によって原油の下値が切り上がっている。したがって、供給側では、海上交通の要衝であるホルズム海峡に注目が集まっている。世界で海上輸送される原油の約3割はホルムズ海峡を通過する。短期的に原油価格が急上昇する可能性はあるが、最終的にはファンダメンタルズに沿った価格水準に収斂するものと予想する。

中東情勢の緊迫化などを背景に、原油価格のボラティリティが高まっている。

需要側では、年間の原油需要は引き続き増加しており、特にエマージング諸国(主に中国・インド)からの需要が大きく伸びている。先進国市場では、主に米国と欧州からの需要が伸びているが、エネルギー効率の改善などにより、全体的な需要は横ばいで推移している。需要の伸び率はここ数年間の水準から鈍化しているものの、世界的に経済成長が減速しているにもかかわらず、伸び率はプラスを維持しており、健全な水準と言える。一方、供給側では、米国の産油量が過去最高水準を更新し、サウジアラビアの産油量を上回る中で、原油価格の動向が引き続き注目されている。これまでは、原油供給の管理においてサウジアラビアが大きな力を維持していたため、価格動向に対しても強い影響力を持っていた。しかし、米国の産油量が増加する中で、市場のダイナミクスが変化している。ただし、原油価格が下落した局面で米国の石油メーカーは機動的に対応し、設備投資を抑えており、また、油田における産油量も自然に減少しているため、米国における生産活動は鈍化し始めている。さらに、OPECとロシアは市場の需給バランスの維持や価格の安定に向けて協調減産を9カ月延長することで合意している。

アウトルック

先進国市場:地域別レラティブ・バリュー

米国 2019年のGDP成長率は1.75%~2.00%と予想。設備投資、輸出、及び在庫なども減少しているが、大幅な減少ではなく、景気後退を示唆する水準では全くない。住宅着工件数についても、2018年には約10%減となったが、2006年~2008年の30%減と比べればそれほど深刻な状況ではない。したがって、2019年の成長率は2017年~2018年の水準を下回ると予想しているが、景気後退リスクはほとんどないと見ている。
カナダ 2019年の予想トレンド成長率が依然エネルギーや不動産関連のリスクと相殺されるため、カナダの政策金利は据え置かれる見込み。インフレ率がここ最近で上昇しているため、他の貿易相手国と比較して政策対応が遅れると予想している。ただし、金利動向に敏感なセクターはすでに減速している。
欧州 今年のユーロ圏の成長率は1%前後になると予想。これはそれほど高い数値ではなく、ユーロ圏の経済成長率は5年連続で潜在成長率を上回っていたが、2019年はやや下回ると考えられる。これに基づくと、市場は景気後退懸念を過度に織り込んでいると考える。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁はポルトガルのシントラで最近開催されたECB年次フォーラムで演説を行い、追加緩和に踏み切る用意があることを明確に示唆した。
英国 イングランド銀行(BoE)は、緩やかな金融引き締めが適切との見方を示唆。英国ではインフレ率が中央銀行の目標である2%近辺で推移、高い雇用の伸びや堅調な賃金の伸びが経済を支えている。しかし、世界の中央銀行が金融緩和姿勢を強めており、英国のEU離脱交渉の長期化によって不透明感が高まり、経済活動が鈍化する恐れもあるため、BoEが引き締め姿勢を維持するかは状況次第。ボリス・ジョンソン氏は、仮に交渉が合意に至らない場合でも、10月末に離脱するとの考えを示したため、「合意なき離脱」懸念が高まった(同氏は、メイ首相の後任として英保守党党首選を大きくリードしており、次期英首相の最有力候補と目されている)。ただし、当社では穏健離脱(ソフト・ブレグジット)の可能性が高いと見ており、英国が10月末に合意なき離脱に踏み切る可能性は低いと考える。
日本 日銀は2%のインフレ目標を達成するべく、直近のフォワードガイダンスに沿って、しばらくの間は緩和政策を維持すると考える。今以上の金融緩和は現時点で予想できない。ただし、金融緩和策の持続可能性を高めるため、日銀は政策修正を検討する可能性がある。
オーストラリア GDP成長率は他先進国と並んで減速しているため、2019年を2.5%と予想。オーストラリア準備銀行(RBA)は利下げに消極的であったが、2012年以来の2ヶ月連続で6月と7月に25bpsの利下げを実施。インフレ非加速的失業率の評価引き下げが根拠。7月の政策会合では追加利下げの可能性も示唆。RBAは特に雇用関連の経済指標を注視。失業率を低水準に維持し、賃金インフレが加速、持続可能な経済成長を実現するためには、金融政策のみならず、政府による幅広い政策対応が必要であるとの認識を示した。しかし、財政黒字に戻ったこともあり、RBAは財政政策の力も借りる可能性もある。

セクター別レラティブ・バリュー

投資適格社債(IG)
米国
見通し 米国の投資適格社債(IG)インデックスのスプレッドは拡大した。世界の中央銀行がハト派姿勢を強めているため、短期的にはリスク資産を保有することが望ましいと考える。食品・飲料、ヘルスケア/製薬、及び自動車セクターに対しては慎重な見方を維持する。
レラティブ・バリュー +/– 銀行、エネルギー、金属・鉱業などのセクターに引き続き注目している。これらのセクターは関税関連リスクによる影響を受けにくく、格付け会社による一層の格上げが見込まれる。
欧州
見通し 欧州IGのファンダメンタルズは依然として良好だが、景気減速や関税による影響を受けやすい。短期的に欧州の景気減速リスクを注視し、業種別では自動車/小売セクターの動向を見守っている。ユーロ市場は内需と外需によって支えられているが、年初の水準と比較してバリュエーションの割安感が薄れている。
レラティブ・バリュー + バランスシートが健全でスプレッドの好転が活用できることから、非金融セクターよりも金融セクターを選好する。
オースト
ラリア
見通し 収益力が堅調な状況でも経営陣がバランスシートに対して保守的な姿勢を維持しているため、企業ファンダメンタルズは依然良好。2019年は新規発行と満期が限定的であることも需給面を後押しするはずである。
レラティブ・バリュー + 金融、REITや公益セクターの中でも規制条件を満たしている事業のオーバーウエイトを維持。スプレッドリスクを抑制するためデュレーションは短めとする。
ハイ・イールド社債
米国
見通し 安定した企業ファンダメンタルズや良好な需給環境などを背景にスプレッドがさらに縮小し、バリュエーションは適正水準に近づいた。リスクは払拭されておらず、注意が必要。レバレッジ解消を進めている高格付けの発行体や、資本市場にアクセスできる高格付けの発行体には投資機会があるとみている。
レラティブ・バリュー + バリュエーションやクレジットサイクルが終盤にあることを背景にCCC格のアンダーウエイトを維持する。金属・鉱業(銅など)景気循環型消費者サービス、金融、ライジングスター(投資適格への格上げ)候補のオーバーウエイトを維持する。
欧州
見通し 市場心理が揺れ動く中で、市場ボラティリティが上昇し、流動性が低下した。こうした中で、発行体の間でパフォーマンスに差が生じた。需給環境は非常に良好であり、新発債の格付けは概ねBB格及びB格となっている。ただし、新発債プレミアムはほとんどない。
レラティブ・バリュー +/–  欧州の経済成長は低迷しており、ブレグジット関連の不透明感もあることから、新発債及びセカンダリー市場の投資機会に対してオポチュニスティック/慎重なアプローチを取る。
バンクローン
米国
見通し 借り手は引き続き緩やかに成長しており、キャッシュ・フロー・カバレッジは十分な水準を維持している。短期金利の低下により、キャッシュ・フローがさらに増える可能性がある。CLOの組成によってバンクローンの需要が支えられると予想する。ただし、金利の低下を背景に、個人投資家の口座からは多少の資金が流出する可能性がある。キャリートレードの対象としてバンクローンは引き続き魅力的である。
レラティブ・バリュー + CLOからの需要によってセカンダリー市場の価格は底堅く推移している。したがって、ファンダメンタルズにかかわらず、B1格以上の銘柄の需要が最も高くなると予想する。最近の新規発行案件は非常に高い価値があるとみており、よりタイトな条件設定を達成できた。これは良い傾向であり、新発市場に魅力的な投資機会があるとみている。
CLO
米国
見通し CLOの供給は依然として多い。ファンダメンタルズとレラティブ・バリューは堅調だが、供給動向を踏まえ、CLOのスプレッドは翌四半期にわたりレンジ内での推移を予想。BBB格/BB格のCLOは、供給が需要を上回るとスプレッドがやや拡大すると予想する。その場合にはポジションを積み増す方針。
レラティブ・バリュー + 短期のAAA格のCLO、及び償還期限が1~2年のAAA格の既発CLOが最も魅力的である。低格付けのメザニン・トランシェ(BBB格/BB格)では、ストラクチャー/ファンダメンタルズが健全な案件に投資機会がある。
ストラクチャード・プロダクト
エージェンシーMBS
見通し スプレッドがワイドな水準で、ヘッジ調整後キャリーに妙味があると見ており、モーゲージに対して強気である。しかし、政府支援機関(GSE)改革への懸念やリファイナンスリスクがあるため、慎重さが必要だ。
レラティブ・バリュー +/– 米国債よりもMBSに対して強気であり、低クーポンのエージェンシーCMBSを選好する。
ノン・エージェンシーRMBS
見通し 住宅市場のファンダメンタルズは健全とみている。住宅価格は妥当とみられる水準で下支えされていることから、向こう数年間は小幅上昇し、下振れリスクは限定的と予想する。与信基準は記録的に厳格な水準であるため、新たに組成されたローンの質は高い。
レラティブ・バリュー + ファニーメイ・フレディ・マックなどのGSEの信用リスク、最近発行されたノン・エージェンシーローン、リパフォーミングローン・証券に対し、強気である。
ノン・エージェンシーCMBS
見通し 商業用不動産のファンダメンタルズや景気見通しが良好であることから、CMBS市場に強気姿勢を据え置く。ただし、不動産の種類や市場に応じて、見通しは一様ではないと予想する。
レラティブ・バリュー + デュレーションが短く、ストラクチャーが保守的で、シングルボロワー型ローンや証券化に対し、当社は強気である。コンデュイット型では、AAA格の債券に妙味があると考える。
資産担保証券(ABS)
見通し 消費者ローン債権ABSのファンダメンタルズおよびレバレッジ状況に基づき、当社は引き続き強気である。十分なプロテクションがあるオフザランセクターには投資機会があり、魅力的なリスク・リターンを提供していることが背景。
レラティブ・バリュー +/– オフザランで高格付けのシニアABSセクター(政府保証民間(FFELP)学生ローン、オートディーラー向けフロアプラン、レンタカー等)に対し、強気である。
インフレ連動債
米国
見通し インフレ連動債のスプレッド水準はFRBのインフレ目標を下回っており、当社の基本シナリオに基づくと、良好な長期価値を提供している。ただし、短期的にはキャリーが少なく、インフレ率が低下するリスクもあるため、大量の資金が流入する可能性は低く、長期的なインフレ期待が高まる可能性も低い。
レラティブ・バリュー +/– 短期的には、米国ではインフレ連動債のオーバーウエイトと名目債の戦術的ポジションを組み合わせ、全体のデュレーションを管理する。
欧州
見通し 欧州のブレーク・イーブン・インフレ率スプレッドが最近の原油価格の反発を織り込んで急落したことから、他のインフレ連動債市場に恩恵をもたらした。2019年の総合インフレ率は平均1.20%と予想しているが、これはスワップ市場とキャッシュ市場が織り込んでいる水準よりも高い。このため、いずれは原油価格とファンダメンタルズに次第に追いついていくと予想する。
レラティブ・バリュー +/– 名目債とインフレ連動債双方のショートを据え置く。
地方債
米国
見通し 地方債市場のファンダメンタルズは全体的に改善しているとの見方を維持。改善の背景には、堅調な需給面、低い失業率、安定的な税収、穏当な歳出案等の要因がある。年限5年以上の地方債は、格付け調整後ベースで、他の課税対象債券よりも魅力的である。
レラティブ・バリュー + 引き続き市場リスク(ベータ)よりも固有リスクに注目する。一般財源債よりも特定財源債を選好する。特に、産業開発を目的とした特定財源債や運輸セクターを重視する。
エマージング債
米ドル建て
エマージング
ソブリン債
見通し 世界のGDP成長率の不透明感はあるが、FRBが最近ハト派的スタンスに方向転換し、米国が他国を大きく上回る成長率に陰りが見えていることは、エマージング市場の財政と資金フローにとって好材料である。テクニカル面では、主要インデックスに占めるエマージング市場のウエイトは依然低いものの、中国や湾岸協力会議加盟国など規模の大きい市場の組み入れ比率が段階的に引き上げられることは、今後エマージング市場の存在感と同市場への投資家の投資意欲の向上に役立つと考えられる。
レラティブ・バリュー + 一部の投資適格および非投資適格のソブリン債は、依然としてキャリーとトータルリターンの観点から妙味がある。足元でリスクの低い湾岸協力会議加盟国や価格面で妙味のあるフロンティア市場ソブリン債へのエクスポージャーを積み増しを検討しているが、BBB格のソブリン債には余り妙味がない。
現地通貨建て
エマージング債
見通し エマージング市場では、FRBがハト派寄りになった上にエマージング通貨が安定的から強含みであることから、引き締め政策への圧力は緩和され、そのことがエマージング諸国と先進諸国間の実質金利スプレッドの縮小をもたらすはずである。米国の財政刺激策の効果が消滅し、中国が景気刺激策を再び導入したことも、グローバルの経済成長率が再び足並みを揃えることに寄与すると考える。当社の見方では、こうした要因が積み重なっていることは、現地通貨建てエマージング債にとって下支え要因となろう。
レラティブ・バリュー + 実質金利が高く、エマージング諸国の中央銀行がハト派寄りになる見通しから、現地通貨建ての金利リスクが最も妙味のある部分だとみている。インドネシア、インド、ブラジルやロシアなど、インフレが落ち着いていて安定した諸国の現地通貨建て債券を選好する。
エマージング社債
見通し エマージング市場の企業は、引続き堅調なファンダメンタルズと保守的なバランスシート経営の共存から恩恵を受ける。米国企業とは異なり、エマージング市場の発行体は自社株買いやM&Aを重視しておらず、2014年~2016年に起きたコモディティ価格と政治の危機の後で、債務削減に取り組んできた。市場全体としては旺盛な債券発行が見られるが、中国を除くエマージング市場社債の正味発行額は極めて低く、需給関係は良好である。
レラティブ・バリュー + ファンダメンタルズ、バリュエーション両面から、エマージング市場社債セクターに資金を配分する最良の方法がクロスオーバー債であると考えている。政府との結びつきが強く、ハードカレンシーで売上を上げている企業を選好する。高格付志向のマンデートには、エマージングの投資適格社債は、スプレッドの厚さ、デュレーションの短さ、BBB格社債の需給面が良好なことから、米国投資適格社債に対して相対的に妙味がある。
見通し レラティブ・バリュー
投資適格社債(IG)
米国 米国の投資適格社債(IG)インデックスのスプレッドは拡大した。世界の中央銀行がハト派姿勢を強めているため、短期的にはリスク資産を保有することが望ましいと考える。食品・飲料、ヘルスケア/製薬、及び自動車セクターに対しては慎重な見方を維持する。 +/– 銀行、エネルギー、金属・鉱業などのセクターに引き続き注目している。これらのセクターは関税関連リスクによる影響を受けにくく、格付け会社による一層の格上げが見込まれる。
欧州 欧州IGのファンダメンタルズは依然として良好だが、景気減速や関税による影響を受けやすい。短期的に欧州の景気減速リスクを注視し、業種別では自動車/小売セクターの動向を見守っている。ユーロ市場は内需と外需によって支えられているが、年初の水準と比較してバリュエーションの割安感が薄れている。 + バランスシートが健全でスプレッドの好転が活用できることから、非金融セクターよりも金融セクターを選好する。
オースト
ラリア
収益力が堅調な状況でも経営陣がバランスシートに対して保守的な姿勢を維持しているため、企業ファンダメンタルズは依然良好。2019年は新規発行と満期が限定的であることも需給面を後押しするはずである。 + 金融、REITや公益セクターの中でも規制条件を満たしている事業のオーバーウエイトを維持。スプレッドリスクを抑制するためデュレーションは短めとする。
ハイ・イールド社債
米国 安定した企業ファンダメンタルズや良好な需給環境などを背景にスプレッドがさらに縮小し、バリュエーションは適正水準に近づいた。リスクは払拭されておらず、注意が必要。レバレッジ解消を進めている高格付けの発行体や、資本市場にアクセスできる高格付けの発行体には投資機会があるとみている。 + バリュエーションやクレジットサイクルが終盤にあることを背景にCCC格のアンダーウエイトを維持する。金属・鉱業(銅など)景気循環型消費者サービス、金融、ライジングスター(投資適格への格上げ)候補のオーバーウエイトを維持する。
欧州 市場心理が揺れ動く中で、市場ボラティリティが上昇し、流動性が低下した。こうした中で、発行体の間でパフォーマンスに差が生じた。需給環境は非常に良好であり、新発債の格付けは概ねBB格及びB格となっている。ただし、新発債プレミアムはほとんどない。 +/–  欧州の経済成長は低迷しており、ブレグジット関連の不透明感もあることから、新発債及びセカンダリー市場の投資機会に対してオポチュニスティック/慎重なアプローチを取る。
バンクローン
米国 借り手は引き続き緩やかに成長しており、キャッシュ・フロー・カバレッジは十分な水準を維持している。短期金利の低下により、キャッシュ・フローがさらに増える可能性がある。CLOの組成によってバンクローンの需要が支えられると予想する。ただし、金利の低下を背景に、個人投資家の口座からは多少の資金が流出する可能性がある。キャリートレードの対象としてバンクローンは引き続き魅力的である。 + CLOからの需要によってセカンダリー市場の価格は底堅く推移している。したがって、ファンダメンタルズにかかわらず、B1格以上の銘柄の需要が最も高くなると予想する。最近の新規発行案件は非常に高い価値があるとみており、よりタイトな条件設定を達成できた。これは良い傾向であり、新発市場に魅力的な投資機会があるとみている。
CLO
米国 CLOの供給は依然として多い。ファンダメンタルズとレラティブ・バリューは堅調だが、供給動向を踏まえ、CLOのスプレッドは翌四半期にわたりレンジ内での推移を予想。BBB格/BB格のCLOは、供給が需要を上回るとスプレッドがやや拡大すると予想する。その場合にはポジションを積み増す方針。 + 短期のAAA格のCLO、及び償還期限が1~2年のAAA格の既発CLOが最も魅力的である。低格付けのメザニン・トランシェ(BBB格/BB格)では、ストラクチャー/ファンダメンタルズが健全な案件に投資機会がある。
ストラクチャード・プロダクト
エージェンシーMBS スプレッドがワイドな水準で、ヘッジ調整後キャリーに妙味があると見ており、モーゲージに対して強気である。しかし、政府支援機関(GSE)改革への懸念やリファイナンスリスクがあるため、慎重さが必要だ。 +/– 米国債よりもMBSに対して強気であり、低クーポンのエージェンシーCMBSを選好する。
ノン・エージェンシーRMBS 住宅市場のファンダメンタルズは健全とみている。住宅価格は妥当とみられる水準で下支えされていることから、向こう数年間は小幅上昇し、下振れリスクは限定的と予想する。与信基準は記録的に厳格な水準であるため、新たに組成されたローンの質は高い。 + ファニーメイ・フレディ・マックなどのGSEの信用リスク、最近発行されたノン・エージェンシーローン、リパフォーミングローン・証券に対し、強気である。
ノン・エージェンシーCMBS 商業用不動産のファンダメンタルズや景気見通しが良好であることから、CMBS市場に強気姿勢を据え置く。ただし、不動産の種類や市場に応じて、見通しは一様ではないと予想する。 + デュレーションが短く、ストラクチャーが保守的で、シングルボロワー型ローンや証券化に対し、当社は強気である。コンデュイット型では、AAA格の債券に妙味があると考える。
資産担保証券(ABS) 消費者ローン債権ABSのファンダメンタルズおよびレバレッジ状況に基づき、当社は引き続き強気である。十分なプロテクションがあるオフザランセクターには投資機会があり、魅力的なリスク・リターンを提供していることが背景。 +/– オフザランで高格付けのシニアABSセクター(政府保証民間(FFELP)学生ローン、オートディーラー向けフロアプラン、レンタカー等)に対し、強気である。
インフレ連動債
米国 インフレ連動債のスプレッド水準はFRBのインフレ目標を下回っており、当社の基本シナリオに基づくと、良好な長期価値を提供している。ただし、短期的にはキャリーが少なく、インフレ率が低下するリスクもあるため、大量の資金が流入する可能性は低く、長期的なインフレ期待が高まる可能性も低い。 +/– 短期的には、米国ではインフレ連動債のオーバーウエイトと名目債の戦術的ポジションを組み合わせ、全体のデュレーションを管理する。
欧州 欧州のブレーク・イーブン・インフレ率スプレッドが最近の原油価格の反発を織り込んで急落したことから、他のインフレ連動債市場に恩恵をもたらした。2019年の総合インフレ率は平均1.20%と予想しているが、これはスワップ市場とキャッシュ市場が織り込んでいる水準よりも高い。このため、いずれは原油価格とファンダメンタルズに次第に追いついていくと予想する。 +/– 名目債とインフレ連動債双方のショートを据え置く。
地方債
米国 地方債市場のファンダメンタルズは全体的に改善しているとの見方を維持。改善の背景には、堅調な需給面、低い失業率、安定的な税収、穏当な歳出案等の要因がある。年限5年以上の地方債は、格付け調整後ベースで、他の課税対象債券よりも魅力的である。 + 引き続き市場リスク(ベータ)よりも固有リスクに注目する。一般財源債よりも特定財源債を選好する。特に、産業開発を目的とした特定財源債や運輸セクターを重視する。
エマージング債
米ドル建て
エマージング
ソブリン債
世界のGDP成長率の不透明感はあるが、FRBが最近ハト派的スタンスに方向転換し、米国が他国を大きく上回る成長率に陰りが見えていることは、エマージング市場の財政と資金フローにとって好材料である。テクニカル面では、主要インデックスに占めるエマージング市場のウエイトは依然低いものの、中国や湾岸協力会議加盟国など規模の大きい市場の組み入れ比率が段階的に引き上げられることは、今後エマージング市場の存在感と同市場への投資家の投資意欲の向上に役立つと考えられる。 + 一部の投資適格および非投資適格のソブリン債は、依然としてキャリーとトータルリターンの観点から妙味がある。足元でリスクの低い湾岸協力会議加盟国や価格面で妙味のあるフロンティア市場ソブリン債へのエクスポージャーを積み増しを検討しているが、BBB格のソブリン債には余り妙味がない。
現地通貨建て
エマージング債
エマージング市場では、FRBがハト派寄りになった上にエマージング通貨が安定的から強含みであることから、引き締め政策への圧力は緩和され、そのことがエマージング諸国と先進諸国間の実質金利スプレッドの縮小をもたらすはずである。米国の財政刺激策の効果が消滅し、中国が景気刺激策を再び導入したことも、グローバルの経済成長率が再び足並みを揃えることに寄与すると考える。当社の見方では、こうした要因が積み重なっていることは、現地通貨建てエマージング債にとって下支え要因となろう。 + 実質金利が高く、エマージング諸国の中央銀行がハト派寄りになる見通しから、現地通貨建ての金利リスクが最も妙味のある部分だとみている。インドネシア、インド、ブラジルやロシアなど、インフレが落ち着いていて安定した諸国の現地通貨建て債券を選好する。
エマージング社債 エマージング市場の企業は、引続き堅調なファンダメンタルズと保守的なバランスシート経営の共存から恩恵を受ける。米国企業とは異なり、エマージング市場の発行体は自社株買いやM&Aを重視しておらず、2014年~2016年に起きたコモディティ価格と政治の危機の後で、債務削減に取り組んできた。市場全体としては旺盛な債券発行が見られるが、中国を除くエマージング市場社債の正味発行額は極めて低く、需給関係は良好である。 + ファンダメンタルズ、バリュエーション両面から、エマージング市場社債セクターに資金を配分する最良の方法がクロスオーバー債であると考えている。政府との結びつきが強く、ハードカレンシーで売上を上げている企業を選好する。高格付志向のマンデートには、エマージングの投資適格社債は、スプレッドの厚さ、デュレーションの短さ、BBB格社債の需給面が良好なことから、米国投資適格社債に対して相対的に妙味がある。