当社は基本シナリオとして、世界経済が「U字型」の回復になり、完全な回復には長期間を要すると予想している。新型コロナウイルスを克服するまでには時間がかかると予想しているが、世界中でワクチン開発競争が加速しており、各国で死亡率が低下している。強力な政策対応によって世界の経済活動が活発化しており、市場の機能が回復した。世界的にインフレ圧力が抑えられていることなどを踏まえると、景気回復が本格化するまで、各国中央銀行は大規模な金融緩和を維持すると予想する。その一方で、次の米国大統領選挙やブレクジット後の貿易交渉、米中貿易協議や地政学的緊張によっては、経済活動や金融市場が混乱する可能性があり、引き続き注視している。そのような不透明要因を背景に、当社のポートフォリオではさらなる市場ボラティリティにも耐え得るポジショニングを維持しつつも、魅力的な投資機会に迅速に対応できるよう、柔軟性の高い運用に努めている。

以下では、当社の世界経済の見通しの背景にある主な要因およびグローバル債券市場でどこに投資妙味が高いと見ているかの詳細な説明を提供する。

主要ファクター
米国: 景気回復が進行
US Recovery

米国経済は7~9月期、着実かつ大幅に回復した。新型コロナウイルスによる制限措置や、それに伴う事業活動の縮小などにより、経済がまだ不安定な状況にあるのは間違いない。しかし、現時点で困難に直面している分野は、厳しい制限措置の影響を直接受けているセクター、または数カ月前の需要低迷による影響がまだ残っているセクターに限られている。

製造業セクターについては、消費者と企業の需要が新型コロナウイルス発生前の水準に戻った。製造業の生産活動は順調に回復しているものの、企業は需要水準が維持されるかどうかを慎重に見守っているため、急激な回復とはなっていない。需要サイドと生産サイドの回復状況に差があるため、結果として在庫が急激に減少している。ただし、在庫には回復の兆しが見られ、需要水準も維持されているため、製造業の生産活動が新型コロナウイルス発生前の水準に戻るのは時間の問題であると考える。

行動制限の影響や感染への恐れから、旅客輸送、宿泊施設、および娯楽セクターの回復が限定的となっている。

建設業界の状況は非常に良好である。新築住宅販売件数は新型コロナウイルス発生前の水準を大幅に上回っている。一部では建設支出が新型コロナウイルス発生前の水準を下回っているものの、これは単に着工が遅れているに過ぎない。建設業者の着工が需要に追いつけば、建設支出はすぐに増加する可能性がある。一方、サービス・セクターでは、行動制限の影響や感染への恐れから、旅客輸送、宿泊施設、および娯楽セクターの回復が限定的となっている。ただし、ヘルスケアやレストランはより力強く回復している。

これらのセクターが完全に回復するのは、新型コロナウイルスに対する有効なワクチンが実用化された後になるであろう。それまでは経済の二極化状態が続き、一部のセクターでは回復がほぼ完了する一方で、感染拡大防止策によって甚大な打撃を受けたセクターは部分的な回復にとどまると見ている。依然として困難に直面しているセクターにとっては、FRBの金融政策と政府の財政政策が重要なカギになる可能性がある。

欧州:力強く回復し ているが、回復の勢 いはやや鈍化する可 能性がある
Europe Rebounds

2020年のユーロ圏GDPが約9%のマイナス成長になるとの当社の予想に変わりはない。7~9月期には経済が予想以上に回復したものの、新型コロナウイルス感染拡大の第2波を抑え込むために(局地的な)制限措置が実施され、財政政策の効果も薄れつつあるため、10~12月期には回復の勢いが鈍化する可能性がある。2021年は、一部の国でGDPが2019年末の水準まで回復すると予想するが、深刻な打撃を受けた国については回復が2022年にずれ込む恐れがある。

2021年については、一部の国ではGDPが2019年末の水準まで回復すると予想するが、深刻な打撃を受けた国については回復が2022年にずれ込む恐れがある。

欧州各国は、GDPの約4%~5%に相当する規模の財政刺激策を実施しており、その他にも政府保証などの補助対策を導入している。政府保証の規模は各国によって異なり、ほぼ0%に近い国もあれば、実質的に上限が設定されていない国もある。欧州各国では財政赤字の対GDP比率が2020年末時点で7%~12%となる可能性があり、公的債務の対GDP比率は10%~20%に上昇すると見込まれる。来年の予算に注目が移っており、今年は応急処置的な財政支援が実施されたが、今後は長期的な優先課題に配慮した財政措置が導入されると予想する。さらに、欧州で5月と7月に実施された協調的な財政措置は、今後数年間にわたる支援を目的としたものであるが、実際に効果が表れるのは2021年後半以降になると見ている。

ECB貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の実施により、欧州の銀行は非常に低い金利で資金を調達し、十分な流動性を確保することが可能となっている。一方、ECBはパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れ規模を1兆3,500億ユーロに維持しているが、市場の混乱や分断リスクが収まりつつある中で、毎月の買い入れ額を減らしている。実際に、国債利回りは低下傾向をたどっており、一部の国では過去最低に近い水準まで低下している。ユーロ圏のインフレ率はすでに、直近の(特段楽観的でもない)予想を下回る水準で推移し始めており、ECBはPEPPの実施期間を延長し、買い入れ規模を拡大する可能性がある(現時点では、PEPPは2021年6月末まで実施される予定である)。パンデミックの拡大により資産市場が再び混乱した場合、毎月の買い入れ額を増やす必要性がさらに高まると考えられる。

英国では、イングランド銀行(BOE)がマイナス金利政策の導入に向けた準備作業を開始しているが、近い将来の導入可能性を否定した。とは言え、例えば量的緩和(QE)の規模拡大など、金融緩和を強化する必要性が高まる可能性がある。一部の財政政策措置は10~12月期いっぱいで終了する見込みであり、英国の欧州連合(EU)離脱後の通商関係をめぐる交渉については期限が10月に延長され、これまでのところ具体的な進展は認められない。当社では英国とEUの両サイドが何らかの自由貿易協定(FTA)の枠組みで合意に至るとの基本シナリオを維持している。これは英国にとって、世界貿易機関(WTO)ルールに基づく一般的な貿易条件よりも有利な内容になる可能性がある。

アジア:力強い回復 が見込まれる
China Recovery

アジア開発銀行(ADB)の最新の見通しによると、アジア地域全体のGDPは2020年に0.7%のマイナス成長になると予想される。その場合、アジア地域全体として1962年以降で初めてのマイナス成長となるが、中国だけは1.8%のプラス成長を達成する可能性がある。しかしながら、新型コロナウイルスの影響で、新興アジア諸国の成長率は2021年に6.8%まで回復すると予想され、特に中国(+7.7%)、インド(+8.0%)、およびインドネシア(+5.3%)の成長率は大幅に回復する可能性がある。現在のところ、北アジアからの輸出が回復の牽引役となっており、主に在庫補充の動きや医療関連の需要が堅調となっている。コロナ封じ込め策に対する疲労から、各国政府は移動制限やロックダウン(都市封鎖)を継続する意欲を失っている。死亡率は全体的に低く抑えられているが、医療システムへの負担が大きな課題である。ワクチン開発は進んでいるものの、新型コロナウイルスに対する懸念は長期化するであろう。観光旅行や出張が正常な水準に戻るまでにはしばらく時間がかかると予想する。ただし、各国政策当局は景気てこ入れに向けてあらゆる手段を尽くす姿勢を示しているため、市場の信頼感が維持されると見ている。

新興アジア諸国の成長率は2021年に6.8%まで回復すると予想される。

今のところ、アジア諸国では財政・金融両面からの景気刺激策が効果を発揮している。しかし、インドやマレーシアは例外であり、両国における公的債務の対GDP比率は他のアジア諸国と比べて高い。ほとんどのアジア諸国ではコア・インフレ率が低位安定しているものの、原油価格がさらに上昇すれば、総合インフレ率が急上昇する可能性がある。年末に向けて、アジア各国の中央銀行は政策金利を現在の水準に据え置くと予想される。ただし、利下げ余地はあり、ほとんどの国は対外債務が少なく、大幅な経常黒字を維持している。金融政策の伝達メカニズムが機能しにくくなっていることや、成長環境が悪化した場合に備えて各国が利下げ余地を確保していていることが、金利据え置きの判断につながったと考える。

アジア諸国では財政・金融両面からの景気刺激策が効果を発揮している。しかし、インドやマレーシアは例外。
アウトルック

先進国市場:地域別レラティブ・バリュー

カナダ:州債と社債のスプレッドは最近拡大したが、縮小する見込み。30年物インフレ連動債は依然として魅力的。ブレーク・イーブン・インフレ率は1.30%と、トレンドを下回る。カナダ産のエネルギー価格は4~6月期に大幅に回復し、それ以降は横ばいか、下落していることから、エネルギーへのエクスポージャーについて依然として警戒している。
米国:金利は低水準で推移し、かつレンジ内の動きになると予想する。デュレーションはリスクオフの有効なヘッジ手段として機能するだろう。イールドカーブが数カ月間スティープ化している中で、イールドカーブの長期ゾーンに投資価値があると見ている。
英国:様々な報道により、今後数カ月は不安定な展開が見込まれる。EUとの貿易交渉の進展次第では、一時的に対英ポンドの売り圧力が低下する可能性があるものの、中期的にはポンド安基調が続く見通し。英国の債券市場は追加金融緩和から恩恵を受ける見通し。
欧州:一部では、スプレッド縮小余地が依然としてあるが、特にECBによる大規模な政策支援により、債券市場が急速に回復しているため、全体では投資機会は減少。年末に向けて悪材料が増えると予想しているが、新型コロナウイルスに対する欧州の政策対応を非常に大きな前進であると見ている。
日本:イールドカーブ(特に超長期)はスティープ化を予想。日銀によるイールドカーブ・コントロール(YCC)の枠組みで、短・中期ゾーンは低水準で推移する可能性が高いと見ている。
オーストラリア:イールドカーブの中・長期ゾーンで活発に取引。準国債やSSA債(国際機関債、ソブリン債、および政府系機関債など)は、ヘッジコストを加味した利回りが海外投資家にとって魅力的であることから、オーバーウエイトとしている。
エマージング市場についてはセクター別レラティブ・バリュー参照
米国 新型コロナウイルスによる制限措置や、それに伴う事業活動の縮小などにより、経済は依然として不安定な状況にある。製造業セクターは順調に回復している一方で、サービス・セクター(ヘルスケアおよびレストランを除く)では、行動制限の影響や感染への恐れから引き続き低迷している。2021年に向けて経済は二極化すると見ている。
カナダ カナダでは、家計所得支援が2021年も継続される見込みから、家計部門の需要回復は米国よりも堅調になる可能性が高い。不動産に対して以前に見られたリスクは後退、不動産需要が広範囲に増加している。景気回復は、その他の地域と同様に、緩やかながらも広範囲にわたっているが、新型コロナウイルスの感染率も再び高まっている、ただし、カナダの状況は比較的良好であるため、景気回復が継続すると予想する。
欧州 上半期の景気後退から脱却するに従って、財政に余裕のある国とそうでない国が明確になっている。各国の分断を避ける上で、協調した財政支援の必要性がこれまで以上に高まっている。これまでの決定を踏まえると、復興基金は世界の投資家にとって安全な資産となり得る大規模な債券プールになる予定である。欧州中央銀行(ECB)は、新型コロナウイルスのパンデミックに対応するため、いくつかの効果的な措置を迅速に展開、または強化しているが、足元では様子見姿勢を維持しており、インフレ動向を注視すると考えられる。
英国 財政政策が縮小されつつあり、欧州連合(EU)との貿易交渉期限は延長されたが、年末までに決着する必要がある中で、年末に向けてボラティリティが高まると予想する。金融政策の見通しは、財政面および貿易面のイベントの影響を受けやすくなっている。状況が悪化した場合、追加金融緩和が実施される可能性がある。
日本 前例のない政策対応を背景に、日本経済は新型コロナウイルス危機からの回復が続くと予想する。菅新首相は、景気回復を支援するために現在の柔軟な財政スタンスを維持する可能性が高い。日銀は日本国債のイールドカーブ・スティープ化政策を通じて、長期にわたり金利を非常に低い水準に維持すると引き続き考えている。
オーストラリア 経済全体は堅調な回復を示しており、ビクトリア州の厳しいロックダウン措置が奏功し始めている中で、10~12月期半ばまでに、経済活動は本格的に再開される可能性が高い。オーストラリア準備銀行(RBA)は、銀行の資金調達に対して支援策を引き続き拡充している。これにより、記録的な水準の流動性供給が維持されており、調達金利は史上最低水準に達している。10月に発表される来年度予算は、大幅な財政拡大が盛り込まれると予想されており、これによりRBAは量的緩和に注力することが可能になると見込まれる。

セクター別レラティブ・バリュー

投資適格社債
米国
見通し ファンダメンタルズに不透明感が残り、新型コロナウイルスの動向に左右されると考えられるが、最終的な景気回復に対して慎重ながらも楽観的な見方を維持している。スプレッドは、今回の危機において最も拡大した水準から大幅に縮小しているものの、依然としてやや魅力的である。投資適格債に対する需要が堅調に推移している中で、需給環境は依然として良好である。
レラティブ・バリュー + 短期的には投資適格社債の小幅オーバーウエイトを維持する方針。特に高格付けの発行体は、厳しい環境の中でも生き残れる堅固なフランチャイズ、健全なバランスシート、および内部留保を有する企業を選好する。
欧州
見通し 新型コロナウイルスによる影響を受けている企業の業績は厳しい状況が続いているものの、最も打撃を受けた発行体の一部は現在、ハイ・イールド級に格下げされている。各企業は積極的に流動性の確保に努めている。投資適格債は、ECBの大規模な支援策や、市場における利回りを求める動きにより大きく支えられている。
レラティブ・バリュー +/- 歴史的に見ると、バリュエーションは割安ではないものの、ある程度の投資機会を依然として提供していると考える。銀行銘柄には売り圧力がかかっているが、銀行のバランスシートは健全であるため、引き続き銀行を選好する。
オースト ラリア
見通し オーストラリアではロックダウンが終了し、経済活動が再開されているとともに、オーストラリア準備銀行(RBA)が資金提供を続けている。これにより2021年に向けて新規発行が限定的になると見込まれる一方で、投資適格債に対する需要(特に銀行の債券)は依然として旺盛である。新規発行市場は7~9月期を通して活発であり、ほとんどの案件が大幅な応募超過となった。
レラティブ・バリュー + 投資適格セクターの企業はバランスシートが健全であり、市場センチメントが改善していることから、依然として投資適格セクターをオーバーウエイトとしている。利回りを求める動きが続いている中で、特に現地通貨建てクレジットに対する投資需要が旺盛となっている。
ハイ・イールド社債
米国
見通し ハイ・イールド債市場は7~9月期に堅調な展開となった。7月と8月にはリスクオン取引が本格化した。資金フローや新規発行は堅調に推移した。7~9月期には当社の能力を活かして、主に景気循環セクターにおいて複数の担保付き高格付け取引の組成に貢献した。これは今後も続くと予想。
レラティブ・バリュー + 経済活動の再開を想定したポジションを継続している。特定の景気循環セクター(航空会社、クルーズ船、および小売)のオーバーウエイトを維持する一方で、景気動向の影響を受けにくいセクターにおける高格付け銘柄のポジションも保有している。
欧州
見通し 7~9月期には、全ての格付けカテゴリーでほぼ同水準のリターンとなった。市場ではこれまで、企業の流動性が注目されていたが、バランスシートの持続可能性やレバレッジ解消の可能性に注目が移っている。新規発行は、格付けの高いBB格の企業に集中しており、CCC格の企業の発行はほとんどなかった。2021年が近づくに従って、追加財政刺激策や経済成長の改善が予想されることから、利回りの低い資産クラスと比べてハイ・イールド債は引き続き魅力的であると考える。
レラティブ・バリュー + ハイ・イールド債市場では、BB格およびB格のクレジットを選好しており、ディフェンシブな業種(ヘルスケア、通信、ケーブル等)や、追加財政刺激策から恩恵を受ける業種に注目している。新型コロナウイルスの悪影響を受けやすい消費者関連の企業に対しては慎重な姿勢を維持する。
バンクローン
米国
見通し 9月は活発な発行が見られたが、10~12月期は発行が減少すると予想する。需要面では、CLOの調達コストは新型コロナウイルス発生前の水準まで低下しているため、10~12月期にはCLOの発行が増えると見ている。したがって、需要が供給を上回り、年末に向けて引き続きローン市場は上昇すると予想する(11月の米大統領選挙後にボラティリティが高まる可能性もある)。
レラティブ・バリュー + CLOが流通市場でローンを購入する動きが予想されるため、高格付けのディフェンシブ銘柄が引き続き上昇すると見ている。当社は特定の銘柄を非常に魅力的な水準で厳選して購入することができている。パンデミックを乗り切る上で十分な流動性を確保し、適切なビジネス・プロファイルを有する銘柄に注目している。
CLO
米国
見通し CLO市場は、対象とするクレジット市場(バンクローンおよびハイ・イールド債)や、供給状況による影響を受けやすい。スプレッドは、3月の最も拡大した水準から大幅に縮小しているものの、投資適格CLOのスプレッドは依然として魅力的である。ただし、10~12月期前半のスプレッドの方向性は、足元の大量供給が最終的に消化されるかどうかに左右されると考えられる。
レラティブ・バリュー + AAA格のCLOは、弱気または強気のいずれのシナリオでも引き続き好調なパフォーマンスを上げるとの見方を維持しており、AAA格の期間構造全体にわたり多くの投資機会が存在している。BBB格のCLOおよび一部のBB格のCLOは現在のバリュエーションで魅力的なトータル・リターンを提供している。
ストラクチャード・プロダクト
エージェンシーMBS
見通し 現在のバリュエーションや、FRBの継続的な資産買い入れなどを踏まえ、モーゲージに対して中立。
レラティブ・バリュー +/- カレント・クーポンのTBA取引や、高クーポンの特定プールを選好する。
ノン・エージェンシーRMBS
見通し 新型コロナウイルスをめぐる不透明感は残っているが、今回の危機が発生する前までは、住宅市場は健全であった。規制当局やFRBが迅速な政策対応を行ったため、差し押さえの急増が阻止され、住宅市場への資金流入が維持された。
レラティブ・バリュー + レガシー・ノン・エージェンシーRMBS/新規発行のリパフォーミング・ローン案件(一時的に返済が滞納となっていたものの、再度返済が開始されたローン)を選好。これらについては、借り手の多くが同様の混乱(世界金融危機やハリケーン被害など)をすでに乗り越えたと見ている。
ノン・エージェンシーCMBS
見通し 市場全体のセンチメントが5月に改善したため、CMBS市場では需要が増加し、回復が続いた。商業用不動産市場が今回のパンデミックの悪影響からいつ完全に回復するかは不明。新型コロナウイルスによる影響は物件タイプや地域によって異なるため、ファンダメンタル見通しも物件タイプや市場によって異なると予想。
レラティブ・バリュー +/- デュレーションが短く、構造がしっかりとした単一借り手の証券化商品およびローンに対して強気の見方を維持する。引き続き投資先を厳選している。ある一定期間の営業利益の減少や、ローンの返済猶予に耐性があり、良好なリスク・リターン特性を提供している債券を選好する。
資産担保証券(ABS)
見通し 消費者のファンダメンタルズに対して慎重な見方を維持しており、経済に対する新型コロナウイルスの影響や不透明な回復ペースを踏まえ、消費者ABSセクターのクレジット・パフォーマンスを注視する。
レラティブ・バリュー +/– 新型コロナウイルスによる混乱の影響をそれほど受けていない高格付けのセクターの中で、十分な担保が付いているシニアABSクラスを選好する。
インフレ連動債
米国
見通し コアCPIは上昇したものの、インフレ率は依然として2019年の水準を下回っている。エネルギー価格は年末に向けてやや上昇すると予想されるが、大量の在庫がダウンサイド・リスクとなっている。FRBは平均インフレ目標を導入したものの、政策実施に変更がなく、新たなツールもないため、2.0%のインフレ目標を達成するのは難しいと考えられる。
レラティブ・バリュー + インフレ連動債(TIPS)はイールドカーブ全体にわたり名目米国債をアンダーパフォームした。長期のブレーク・イーブン取引への注目を継続する。長期のブレーク・イーブン取引は、FRBの平均インフレ目標から恩恵を受けると見込まれる。
欧州
見通し インフレ率は過去の水準を下回って推移する可能性があるが、景気回復の兆候が明らかになれば、現在の非常に低いブレーク・イーブン・インフレ率によって示唆される水準を上回ると予想。ECBによるインフレ連動債の購入は短期的なサポートを提供すると考える。
レラティブ・バリュー + インフレ連動債のポートフォリオとグローバルのポートフォリオでは、フランスとイタリアの実質利回りとブレーク・イーブン・インフレ率スプレッドを維持する。
日本
見通し 日本のブレーク・イーブン・インフレ率スプレッドは0%を下回った。組み込まれたフロア・オプションを考慮すると、日本のインフレ連動債は大幅に過小評価されている。
レラティブ・バリュー + 日本では名目利回りに対する実質利回りのオーバーウエイトを維持する。
地方債
米国
見通し 新型コロナウイルスによる経済への悪影響が続いている中で、地方自治体は引き続き厳しい財政運営を強いられると見ている。連邦政府の刺激策への期待が後退しており、地方自治体の財政状況がさらに悪化する恐れがある。ただし、地方債市場の大半は予算の弾力性を維持しており、緊縮財政を行い、債務返済を履行できる可能性がある。一方、不安な選挙シーズンや、パンデミック関連の報道、および地方債の供給増加などにより、短期的には市場のボラティリティが高まる恐れがある。
レラティブ・バリュー + 高格付けの一般財源保証債よりも低格付けのレベニュー債を引き続き選好する。レベニュー債では、需要の改善や魅力的なリスク調整後リターンに基づいて、運輸セクターやヘルスケア・セクターへのエクスポージャーを増やしている。
エマージング債
米ドル建て
エマージング
ソブリン債
見通し 米ドル建てソブリン債の新規発行は健全なペースで継続している。エマージング諸国は、新型コロナウイルスのパンデミックによる経済的打撃を和らげるために、低金利で資金を調達し、財政刺激策に振り向けることを目指している。エマージング諸国では、先進国市場と比較して大規模な金融・財政刺激策を実施する余地が限られていることから、新型コロナウイルス危機の影響が長引く可能性がある。
レラティブ・バリュー +/- キャリーおよびトータル・リターンの両方の観点から、一部の投資適格級の米ドル建てエマージング・ソブリン債を引き続き選好する。フロンティア諸国は今後、厳しい状況に直面する可能性があるため、フロンティア諸国が発行する低格付けのソブリン債に対しては慎重に対応する。
現地通貨建て
エマージング債
見通し 米国とエマージング諸国の実質金利に差があるため、将来的にエマージング市場への資金フローやポートフォリオ・フローが見込まれる。エマージング市場の多くの中央銀行は、過去の危機時とは対照的に金融緩和姿勢を維持している。緊張が強まっている時期には、エマージング通貨は緊張を和らげる役割を引き続き果たしている。
レラティブ・バリュー +/- 高い実質利回りを踏まえると、現地通貨建てエマージング債は引き続き魅力的であるが、エマージング通貨は不安定に推移しているため、注意する必要がある。現地通貨建てエマージング債は先進国市場と比較して実質金利が高いため、トータル・リターンというよりも、キャリーを獲得する機会であると見ている。
エマージング社債
見通し エマージング社債は世界のクレジット・ユニバースの中では比較的ディフェンシブなセクターであるが、グローバルおよびソブリンのレベルで成長が悪化している中で、企業のファンダメンタルズにも悪影響が出ている。EMの企業は比較的償還スケジュールが明確であり、流動性を確保しているため、それらの企業はコストカット、リボルビング・ローン、オポチュニスティックな新規発行などを通じてさらに体力を強化する可能性がある。
レラティブ・バリュー +/- 高格付けのエマージング社債には投資価値があると見ている。景気循環およびコモディティセクターへのエクスポージャーを有するB格のエマージング社債、または新型コロナウイルスに対するマクロ経済および(または)政治の脆弱性が高まっている地域については慎重な姿勢を維持する。
見通し レラティブ・バリュー
投資適格社債
米国 ファンダメンタルズに不透明感が残り、新型コロナウイルスの動向に左右されると考えられるが、最終的な景気回復に対して慎重ながらも楽観的な見方を維持している。スプレッドは、今回の危機において最も拡大した水準から大幅に縮小しているものの、依然としてやや魅力的である。投資適格債に対する需要が堅調に推移している中で、需給環境は依然として良好である。 + 短期的には投資適格社債の小幅オーバーウエイトを維持する方針。特に高格付けの発行体は、厳しい環境の中でも生き残れる堅固なフランチャイズ、健全なバランスシート、および内部留保を有する企業を選好する。
欧州 新型コロナウイルスによる影響を受けている企業の業績は厳しい状況が続いているものの、最も打撃を受けた発行体の一部は現在、ハイ・イールド級に格下げされている。各企業は積極的に流動性の確保に努めている。投資適格債は、ECBの大規模な支援策や、市場における利回りを求める動きにより大きく支えられている。 +/- 歴史的に見ると、バリュエーションは割安ではないものの、ある程度の投資機会を依然として提供していると考える。銀行銘柄には売り圧力がかかっているが、銀行のバランスシートは健全であるため、引き続き銀行を選好する。
オースト ラリア オーストラリアではロックダウンが終了し、経済活動が再開されているとともに、オーストラリア準備銀行(RBA)が資金提供を続けている。これにより2021年に向けて新規発行が限定的になると見込まれる一方で、投資適格債に対する需要(特に銀行の債券)は依然として旺盛である。新規発行市場は7~9月期を通して活発であり、ほとんどの案件が大幅な応募超過となった。 + 投資適格セクターの企業はバランスシートが健全であり、市場センチメントが改善していることから、依然として投資適格セクターをオーバーウエイトとしている。利回りを求める動きが続いている中で、特に現地通貨建てクレジットに対する投資需要が旺盛となっている。
ハイ・イールド社債
米国 ハイ・イールド債市場は7~9月期に堅調な展開となった。7月と8月にはリスクオン取引が本格化した。資金フローや新規発行は堅調に推移した。7~9月期には当社の能力を活かして、主に景気循環セクターにおいて複数の担保付き高格付け取引の組成に貢献した。これは今後も続くと予想。 + 経済活動の再開を想定したポジションを継続している。特定の景気循環セクター(航空会社、クルーズ船、および小売)のオーバーウエイトを維持する一方で、景気動向の影響を受けにくいセクターにおける高格付け銘柄のポジションも保有している。
欧州 7~9月期には、全ての格付けカテゴリーでほぼ同水準のリターンとなった。市場ではこれまで、企業の流動性が注目されていたが、バランスシートの持続可能性やレバレッジ解消の可能性に注目が移っている。新規発行は、格付けの高いBB格の企業に集中しており、CCC格の企業の発行はほとんどなかった。2021年が近づくに従って、追加財政刺激策や経済成長の改善が予想されることから、利回りの低い資産クラスと比べてハイ・イールド債は引き続き魅力的であると考える。 + ハイ・イールド債市場では、BB格およびB格のクレジットを選好しており、ディフェンシブな業種(ヘルスケア、通信、ケーブル等)や、追加財政刺激策から恩恵を受ける業種に注目している。新型コロナウイルスの悪影響を受けやすい消費者関連の企業に対しては慎重な姿勢を維持する。
バンクローン
米国 9月は活発な発行が見られたが、10~12月期は発行が減少すると予想する。需要面では、CLOの調達コストは新型コロナウイルス発生前の水準まで低下しているため、10~12月期にはCLOの発行が増えると見ている。したがって、需要が供給を上回り、年末に向けて引き続きローン市場は上昇すると予想する(11月の米大統領選挙後にボラティリティが高まる可能性もある)。 + CLOが流通市場でローンを購入する動きが予想されるため、高格付けのディフェンシブ銘柄が引き続き上昇すると見ている。当社は特定の銘柄を非常に魅力的な水準で厳選して購入することができている。パンデミックを乗り切る上で十分な流動性を確保し、適切なビジネス・プロファイルを有する銘柄に注目している。
CLO
米国 CLO市場は、対象とするクレジット市場(バンクローンおよびハイ・イールド債)や、供給状況による影響を受けやすい。スプレッドは、3月の最も拡大した水準から大幅に縮小しているものの、投資適格CLOのスプレッドは依然として魅力的である。ただし、10~12月期前半のスプレッドの方向性は、足元の大量供給が最終的に消化されるかどうかに左右されると考えられる。 + AAA格のCLOは、弱気または強気のいずれのシナリオでも引き続き好調なパフォーマンスを上げるとの見方を維持しており、AAA格の期間構造全体にわたり多くの投資機会が存在している。BBB格のCLOおよび一部のBB格のCLOは現在のバリュエーションで魅力的なトータル・リターンを提供している。
ストラクチャード・プロダクト
エージェンシーMBS 現在のバリュエーションや、FRBの継続的な資産買い入れなどを踏まえ、モーゲージに対して中立。 +/- カレント・クーポンのTBA取引や、高クーポンの特定プールを選好する。
ノン・エージェンシーRMBS 新型コロナウイルスをめぐる不透明感は残っているが、今回の危機が発生する前までは、住宅市場は健全であった。規制当局やFRBが迅速な政策対応を行ったため、差し押さえの急増が阻止され、住宅市場への資金流入が維持された。 + レガシー・ノン・エージェンシーRMBS/新規発行のリパフォーミング・ローン案件(一時的に返済が滞納となっていたものの、再度返済が開始されたローン)を選好。これらについては、借り手の多くが同様の混乱(世界金融危機やハリケーン被害など)をすでに乗り越えたと見ている。
ノン・エージェンシーCMBS 市場全体のセンチメントが5月に改善したため、CMBS市場では需要が増加し、回復が続いた。商業用不動産市場が今回のパンデミックの悪影響からいつ完全に回復するかは不明。新型コロナウイルスによる影響は物件タイプや地域によって異なるため、ファンダメンタル見通しも物件タイプや市場によって異なると予想。 +/- デュレーションが短く、構造がしっかりとした単一借り手の証券化商品およびローンに対して強気の見方を維持する。引き続き投資先を厳選している。ある一定期間の営業利益の減少や、ローンの返済猶予に耐性があり、良好なリスク・リターン特性を提供している債券を選好する。
資産担保証券(ABS) 消費者のファンダメンタルズに対して慎重な見方を維持しており、経済に対する新型コロナウイルスの影響や不透明な回復ペースを踏まえ、消費者ABSセクターのクレジット・パフォーマンスを注視する。 +/– 新型コロナウイルスによる混乱の影響をそれほど受けていない高格付けのセクターの中で、十分な担保が付いているシニアABSクラスを選好する。
インフレ連動債
米国 コアCPIは上昇したものの、インフレ率は依然として2019年の水準を下回っている。エネルギー価格は年末に向けてやや上昇すると予想されるが、大量の在庫がダウンサイド・リスクとなっている。FRBは平均インフレ目標を導入したものの、政策実施に変更がなく、新たなツールもないため、2.0%のインフレ目標を達成するのは難しいと考えられる。 + インフレ連動債(TIPS)はイールドカーブ全体にわたり名目米国債をアンダーパフォームした。長期のブレーク・イーブン取引への注目を継続する。長期のブレーク・イーブン取引は、FRBの平均インフレ目標から恩恵を受けると見込まれる。
欧州 インフレ率は過去の水準を下回って推移する可能性があるが、景気回復の兆候が明らかになれば、現在の非常に低いブレーク・イーブン・インフレ率によって示唆される水準を上回ると予想。ECBによるインフレ連動債の購入は短期的なサポートを提供すると考える。 + インフレ連動債のポートフォリオとグローバルのポートフォリオでは、フランスとイタリアの実質利回りとブレーク・イーブン・インフレ率スプレッドを維持する。
日本 日本のブレーク・イーブン・インフレ率スプレッドは0%を下回った。組み込まれたフロア・オプションを考慮すると、日本のインフレ連動債は大幅に過小評価されている。 + 日本では名目利回りに対する実質利回りのオーバーウエイトを維持する。
地方債
米国 新型コロナウイルスによる経済への悪影響が続いている中で、地方自治体は引き続き厳しい財政運営を強いられると見ている。連邦政府の刺激策への期待が後退しており、地方自治体の財政状況がさらに悪化する恐れがある。ただし、地方債市場の大半は予算の弾力性を維持しており、緊縮財政を行い、債務返済を履行できる可能性がある。一方、不安な選挙シーズンや、パンデミック関連の報道、および地方債の供給増加などにより、短期的には市場のボラティリティが高まる恐れがある。 + 高格付けの一般財源保証債よりも低格付けのレベニュー債を引き続き選好する。レベニュー債では、需要の改善や魅力的なリスク調整後リターンに基づいて、運輸セクターやヘルスケア・セクターへのエクスポージャーを増やしている。
エマージング債
米ドル建て
エマージング
ソブリン債
米ドル建てソブリン債の新規発行は健全なペースで継続している。エマージング諸国は、新型コロナウイルスのパンデミックによる経済的打撃を和らげるために、低金利で資金を調達し、財政刺激策に振り向けることを目指している。エマージング諸国では、先進国市場と比較して大規模な金融・財政刺激策を実施する余地が限られていることから、新型コロナウイルス危機の影響が長引く可能性がある。 +/- キャリーおよびトータル・リターンの両方の観点から、一部の投資適格級の米ドル建てエマージング・ソブリン債を引き続き選好する。フロンティア諸国は今後、厳しい状況に直面する可能性があるため、フロンティア諸国が発行する低格付けのソブリン債に対しては慎重に対応する。
現地通貨建て
エマージング債
米国とエマージング諸国の実質金利に差があるため、将来的にエマージング市場への資金フローやポートフォリオ・フローが見込まれる。エマージング市場の多くの中央銀行は、過去の危機時とは対照的に金融緩和姿勢を維持している。緊張が強まっている時期には、エマージング通貨は緊張を和らげる役割を引き続き果たしている。 +/- 高い実質利回りを踏まえると、現地通貨建てエマージング債は引き続き魅力的であるが、エマージング通貨は不安定に推移しているため、注意する必要がある。現地通貨建てエマージング債は先進国市場と比較して実質金利が高いため、トータル・リターンというよりも、キャリーを獲得する機会であると見ている。
エマージング社債 エマージング社債は世界のクレジット・ユニバースの中では比較的ディフェンシブなセクターであるが、グローバルおよびソブリンのレベルで成長が悪化している中で、企業のファンダメンタルズにも悪影響が出ている。EMの企業は比較的償還スケジュールが明確であり、流動性を確保しているため、それらの企業はコストカット、リボルビング・ローン、オポチュニスティックな新規発行などを通じてさらに体力を強化する可能性がある。 +/- 高格付けのエマージング社債には投資価値があると見ている。景気循環およびコモディティセクターへのエクスポージャーを有するB格のエマージング社債、または新型コロナウイルスに対するマクロ経済および(または)政治の脆弱性が高まっている地域については慎重な姿勢を維持する。