様々なリスクが存在している中で、世界経済の先行き不透明感が強まっている。例えば、世界的な貿易摩擦の長期化を背景に、製造業活動が世界中で縮小しており、欧州や中国でも景気減速が鮮明となっている。また、米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)は追加刺激策の導入を検討しているが、両中銀が政策ミスを犯すリスクもある。さらに、英国では政局が混乱しているため、合意なき欧州連合(EU)離脱(ハードブレグジット)が現実になる恐れもある。これに加えて、香港の大規模デモやサウジアラビアの石油施設への攻撃といった新たな火種も生じており、これらがもたらす影響については現時点で不明である。今年に入ってからダウンサイドリスクが高まっているものの、世界経済は底堅い成長を続けると当社では予想している。世界的に消費は引き続き堅調に推移している。また、先進国と新興国の中央銀行はともに大規模な金融刺激策を行っており、2020年が近づくにつれて、経済成長に対するダウンサイドリスクは後退すると予想する。以下では、当社の世界経済の見通しの背景にある主な要因、当社の総合型運用におけるポジションの具体例および今日の市場でどこに価値があると見ているかの詳細な説明を提供する。

主要ファクター
米国:経済成長は引き続き底堅く推移

2019年の米国のGDP成長率は2.00%~2.25%のレンジになると予想している。今年上半期には、個人消費や所得の伸びが明らかに鈍化した局面があったため、当社は見通しを下方修正した。しかし、これらの指標がここ数ヶ月で回復したことを踏まえ、現時点ではGDP成長率が2%代前半になる可能性が最も高いと見ている。個人消費は回復しており、米国の製造業セクターの指標も最近一時的に改善していることから、見通しを下方修正した数ヶ月前と比べると、景気後退に陥るリスクは低下していると考えられる。2017年~2018年と比べると、米国経済における様々な要素が経済成長の減速を示唆しているが、景気後退に陥るリスクが高まるような弱含みの動きや継続的な減速の兆候は見られない。

米中間の報復関税合戦がエスカレートしていることを受け、一部では米国経済への悪影響を懸念する声も出ている。しかし、現時点でそのような明確な兆候や根拠は確認できない。どちらかと言えば、米国の貿易収支は今年に入ってからのトレンドと比較してやや改善しており、これは一部で懸念されているようなGDPの押し下げ要因ではなく、GDPをやや押し上げる要因になると言える。最近では米国企業の設備投資もどちらかと言えばやや改善しており、貿易摩擦をめぐる懸念が設備投資を抑制しているとの見方に反する状況となっている。ここ数ヶ月ではコアインフレ率もやや上昇しているが、2019年上半期に特に低かったことの反動に過ぎない。全体的に見ると、インフレ率はFRBの目標値である2%の水準を下回って推移しているように思われる。FRBの政策や名目GDP成長率の推移などを見る限り、インフレの大幅な上昇を示唆するような要因は見られない。

欧州:安定した成長、リスクは上昇、英国の欧州連合(EU)離脱問題が最大の焦点

最近の経済指標などを踏まえ、当社は2019年のユーロ圏の成長見通しをやや下方修正したが、それでもユーロ圏のGDP成長率は1.0%前後になると予想している。世界貿易の鈍化を受け、ドイツ経済は大きな打撃を受けている。イタリアでは今年に入ってから政治リスクが高まったため、このことが経済の停滞を招いた可能性がある。また、ドイツ経済は4年間にわたり潜在成長率を上回るペースで拡大してきたが、ドイツの自動車業界や化学業界の問題が景気減速の一因になったと見ている。ただし、こうした問題は徐々に改善されると思われる。

最近ではサービス業購買担当者景気指数(PMI)などのソフトデータ(アンケート調査などを基に集計して発表される経済指標)が予想を下回っていることを踏まえ、当社は2020年の成長見通しもやや下方修正した。ただし、ドイツやイタリアの状況が改善していることから、ユーロ圏の成長率は2019年の水準をやや上回り、1.2%前後になると予想している。ドイツ経済は来年に加速すると予想しており、ベース効果の影響や、上述の供給サイドの制約の軽減などを踏まえると、潜在成長率とほぼ同等の水準になると見ている。イタリアの政治不安が解消に向かっている中で、イタリアの成長率も回復すると予想する。一方、ユーロ圏におけるその他の主要国の経済はやや減速する恐れがあるものの、緩和的な金融・財政政策が景気の下支え要因として働くと見込まれるため、潜在成長率とほぼ同等の水準になる可能性がある。しかし、仮にサービス・セクターに関するソフトデータがさらに悪化し、これがハードデータ(実際の経済活動の結果を集計した経済指標)にも反映し始めた場合、2019年と2020年の見通しを下方修正する必要があると考えられる。来年のその他の主なリスクとしては、英国の欧州連合離脱に伴う混乱、原油価格の高騰、貿易摩擦の深刻化、及びイタリアの政治リスクの再燃などが挙げられる。

英国に関しては、最高裁判所がジョンソン首相による議会閉鎖措置に対して違法判決を下したことにより、EU離脱交渉における英国議会の存在感が増したと考えられるため、「合意なき」離脱の可能性が大幅に低下したと見ている。一方、当社では(1)テリーザ・メイ前首相が取りまとめた離脱協定案の修正案を議会が10月19日以前に承認するか、または(2)ボリス・ジョンソン現首相あるいは暫定政府が10月末までに離脱期限の延期を要請し、その後に総選挙を実施するかのいずれかのシナリオを予想している。状況は常に変化しているが、アイルランド国境管理をめぐる問題の解決に向けて意義ある提案を行うよう、英国では協調的な動きが進んでいるように思われるため、当社では「離脱協定案」が10月末前に議会で承認される可能性がやや高いと見ている。

このように、英国を巡る不透明感は極めて高く、2020年の英国の成長見通しを見極めることは非常に困難である。同様に、インフレ率は為替の水準や、関税の発動及び取引コストの導入などに大きく左右される。しかし、仮に「合意なき」離脱が実現した場合、イングランド銀行は一時的なインフレ率の上昇を気にせず、経済を下支えするために利下げを行うと当社では考えている。

中国:簡単な解決策はない

世界経済が鈍化している中で、中国経済も構造的及び循環的な要因によって減速している。景気減速に対処するため、中国の政策当局は通貨切り下げによって国内の製造業を支援することが適切であると判断した。しかし、中国の銀行は融資に対して慎重な姿勢を崩していないため、零細企業は依然として資金調達の問題に直面している。中国人民銀行が公表した2019年第2四半期(4月~6月)の金融政策報告書では、緩和的な金融政策を継続する方針が示された。しかし、実際には金融政策はこれまでの路線を引き継ぐもので、全体的には不動産市場のバブルを抑えることを目的としている。

米中間の貿易摩擦に関しては、現時点では両国とも交渉で譲歩するようには思われないため、すぐに恒久的な解決に至るとは予想していない。米国内の政治的観点からすると、米国側が強硬な姿勢を取り続ける可能性が高いように思われる。仮に米国側が強硬姿勢を強めた場合、世界の市場環境はさらに悪化する可能性がある。この場合、先進国市場では不透明な政策環境となるため、投資に悪影響が及ぶ恐れがある。今後、貿易摩擦の深刻化や不透明感の高まりにより、引き続きセンチメントが冷え込み、結果として設備投資や消費者信頼感が後退する可能性もある。

オーストラリア:いまのところは景気失速を回避

その他の先進国市場と同様に、オーストラリア経済も減速しており、2019年のGDP成長率は2.0%~2.5%のレンジで成長すると予想する。オーストラリア準備銀行(RBA)は3年近くにわたり政策金利を据え置き、利下げに対して消極的な姿勢を示していたものの、今年6月以来3回の利下げを行い、それ以降は明確な緩和姿勢を維持している。市場では年内に追加利下げが行われると予想されており、2020年初めの追加利下げも織り込まれている。

住宅市場は、底打ちを示す兆候が見られる。住宅価格は2年近くにわたり下落していたが、ここ数ヶ月では上昇に転じている。消費はここ1~2年にわたり低迷していたが、住宅価格の反転に伴う資産効果によって消費が活性化され、GDP成長率の押し上げ要因となる可能性がある。雇用の伸びは非常に堅調であるが、ここ1年間ではそれ以上に労働参加率が上昇し、記録的水準に達しているため、結果として失業率は小幅に上昇している。失業率は、RBAが政策判断を行う上で考慮している主な指標の1つであり、RBAの明確なハト派発言から、近いうちに1回の利下げが行われる公算が大きい。

原油市場:地政学的リスクが再燃

サウジアラビアの世界最大の石油処理施設がドローン攻撃を受け、同国の石油生産量全体の半分超にあたる日量570万バレルの生産が停止した。これは世界の石油供給の5%超に相当する量であり、これによって原油市場の需給バランスが崩れる恐れもある。この事件が起こる前までは、当社はWTI原油価格が50ドル~55ドルのレンジで推移すると考えていた。これは、経営陣や業界の予算設定とほぼ同等の水準であった。

ファンダメンタルズの観点からすると、2019年の原油市場は比較的均衡が取れていると見られている。原油需要が底堅い伸びを示している一方、米国の生産量は増加している。石油輸出国機構(OPEC)とロシアは協調減産を継続しており、一部では供給途絶や地政学的リスクが生じている。ここ最近では、貿易摩擦や景気減速に対する懸念が払拭されていないため、需要も鈍化する恐れがあることから、2020年に向けてこれらの供給懸念要因は和らぐと見られている。サウジアラビアの石油施設攻撃などを踏まえると、地政学的リスクが原油価格に完全に織り込まれない可能性があり、海上交通の要衝であるホルムズ海峡などを含め、中東情勢が再び注目されている。

供給サイドへの影響や、生産復旧を阻む障害などを踏まえると、WTI原油価格は短期的に1バレル当たり55ドル~62ドルのレンジまで上昇すると予想される。ただし、今後は経済活動の鈍化が見込まれ、需要が伸び悩む可能性もあるため、中長期的には1バレルあたり50ドル~55ドルのレンジに戻る可能性があると見ている。

アウトルック

先進国市場:地域別レラティブ・バリュー

米国 2019年のGDP成長率は2.00%~2.25%と予想。設備投資、輸出、及び在庫なども減少しているが、大幅な減少ではなく、景気後退を示唆する水準では全くない。住宅着工件数は、2018年に約10%減だったが、2006年~2008年の減少と比べればそれほど深刻な状況ではない。したがって、2019年の成長率は2017年~2018年の水準を下回ると予想しているが、景気後退リスクはほとんどないと見ている。
カナダ 不動産関連のリスクが低下しており、バンクーバーを除く全ての地域では不動産市場が堅調に推移している。国内の売上データは底打ちし、回復に転じている。今後の経済見通しに対して、家計の債務水準は懸念要因ではあるが、それ自体は政策措置を必要とするような要因ではない(債務水準は、借金を踏みとどまらせるほど高いわけではなく、まだ見られない悪材料を解消できるほど低いわけでもない)。
欧州 2019年~2020年のユーロ圏の成長率は1%前後を予想。これはそれほど高い数値ではなく、5年連続で潜在成長率を上回っていたが、今後はやや下回ると考えられる。多くのダウンサイドリスクが存在しており、一部の国では景気後退(2四半期連続のマイナス成長)の可能性が高まっているが、市場は景気後退懸念を過度に織り込んでいると考える。さらにECBは資産購入プログラム(APP)を再開しており、インフレ率が実質的に目標水準に近づくまでAPPを継続する方針を示している。
英国 労働市場が堅調で、設備投資や内需の伸びが安定する見込みを受け、イングランド銀行は、EU離脱が順調に進んだ場合は、緩やかな金融引き締めが適切であるとの見方を示唆している。最高裁判所がジョンソン首相による議会閉鎖措置に対して違法判決を下し、離脱期限である10月末に合意なき離脱が決行される可能性は大幅に低下。英国とEUが離脱協定案で合意に達する、または期限が延期され、総選挙が実施されるシナリオは穏健な成り行きと言える。仮に再度延期されても、合意なき離脱が回避されるわけではなく、総選挙の結果により今後の方向性が大きく変わる可能性がある。
日本 堅調な個人消費や設備投資などを踏まえ、日本経済に対しては前向きな見方を維持。財政措置が実施されるため、消費税率引き上げに伴う悪影響は限定的にとどまると予想。日銀は2%のインフレ目標を達成するべく、当面の間は緩和政策を維持すると考える。今以上の金融緩和は現時点で予想できない。
オーストラリア 住宅市場が底打ちした兆候が見られるため、2019年のGDP成長率を2.0%~2.5%と予想。雇用の伸びは非常に堅調だが、ここ1年間ではそれ以上に労働参加率が上昇し、結果として失業率は小幅に上昇している。失業率は、RBAが政策判断を行う上で考慮している主な指標の1つであり、近いうちに少なくとも1回の利下げを行う公算が大きく、年内に追加利下げに踏み切ると予想。

セクター別レラティブ・バリュー

投資適格社債
米国
見通し 各国中央銀行による緩和的な金融政策の継続、世界中でのマイナス利回りの増加を踏まえ、年末に向けてリスク資産を保有することが望ましいと考える。米国投資適格社債インデックスのスプレッドは7月末に102bpまで縮小したが、貿易摩擦の深刻化を受け、8月には再び拡大。食品・飲料、ヘルスケア/製薬、自動車セクターに対して慎重な見方を維持する。
レラティブ・バリュー +/– 銀行、エネルギー、金属・鉱業などのセクターを引き続き注目している。これらのセクターのファンダメンタルズは継続して堅調、また関税関連リスクによる影響を受けにくく、格付け会社による一層の格上げが見込まれる。
欧州
見通し 欧州投資適格社債のファンダメンタルズはある程度堅調であり、銀行のファンダメンタルズは改善。マイナス利回りの環境が続き、ECBが社債購入プログラムを再開する中、投資適格社債に対して健全な需要が存在する。一方、特に米国の発行体を中心に、新規発行が急増。低金利環境を踏まえると、バリュエーションは魅力的だが、過去の水準からは依然として割高。
レラティブ・バリュー +/- 全体的に慎重なポジショニングを維持。公益セクターや景気循環セクターの銘柄よりも、金融やREITセクターの銘柄を選好。
オースト ラリア
見通し 収益力が堅調な状況でも経営陣がバランスシートに対して保守的な姿勢を維持しているため、企業ファンダメンタルズは依然良好。新規発行と満期が2019年末まで限定的である見通しも需給面を後押しするだろう。
レラティブ・バリュー + 金融、REITや公益セクターの中でも規制条件を満たしている事業のオーバーウエイトを維持。スプレッドリスクを抑制するためデュレーションは短めとする。
ハイ・イールド社債
米国
見通し 安定した企業ファンダメンタルズ、良好な需給環境、及びFRBの緩和姿勢などを背景にスプレッドがさらに縮小し、バリュエーションは適正水準に近づいた。世界経済の減速、貿易摩擦、及び新規発行市場の需給悪化などが懸念されるため、低格付けの発行体に対しては慎重な姿勢を維持。
レラティブ・バリュー +/- 豊富な資産を有するサブ・セクターや、資本市場へのアクセスを確保している企業に投資妙味があると見ている。新規発行市場において、明確なプラス要因のある銘柄を厳選して購入している。CCC格以下の債券のアンダーウエイトを維持。
欧州
見通し 欧州の経済環境は悪化しており、ファンダメンタルズにも影響が出始めている。マイナス金利政策が導入されていることを踏まえると、需給環境は依然として良好だが、割安感は低下している。借り換え目的の新規発行が多く、新発債の格付けは概ねBB格及びB格となっている。今後もこうした傾向が続き、結果としてCCC格の発行が減少すると予想する。
レラティブ・バリュー +/– 格付け見通しが「ネガティブ」の企業が増加しており、発行体間で格差が拡大している。新発債及びセカンダリー市場の投資機会に対してオポチュニスティックなアプローチを取る。
バンクローン
米国
見通し CLOの組成によって引き続きバンクローンの需要が支えられると予想する。その結果、より格付けの高い銘柄に対して強い買い需要が続くと見込まれる。金利が安定するか、またはFRBがさらにハト派寄りの姿勢を示した場合、バンクローンに個人投資家の資金が流入する可能性がある。キャリートレードの対象としてバンクローンは引き続き魅力的。CLOビークルからの需要、個人投資家の資金流入、及び低水準の新規発行により、価格の上昇が見込まれる。
レラティブ・バリュー + 今後3ヶ月にわたりB格債券の大量発行が見込まれるため、魅力的な水準で購入する機会が提供されると見ている。大量の新規発行を予想する報道があるものの、実際の新規発行は予想を下回ると考えられ、このことはセカンダリー市場の上昇要因になる可能性がある。
CLO
米国
見通し CLOの供給状況を踏まえ、スプレッドはレンジ内での推移を予想。市場コンセンサスでは大量の供給が予想されているが、投資家の忍耐がCLOの組成の減少につながり、発行体にとって厳しいアービトラージ環境となった場合、実際には全く正反対の状況となる可能性もある。AAA格とAA格のCLOに対しては引き続き旺盛な需要が存在している。CLOの全体的な資本構成は、フォワードカーブを調整した後であっても、格付けが同等の金融商品と比較して割安である。
レラティブ・バリュー + 短期のAAA格のCLOを選好しており、スプレッド・デュレーションの長いAAA格の新発債と価格コンベクシティのバーベル取引に注目している。
低格付けのメザニン・トランシェ(BBB格/BB格)では、イールドカーブの短期ゾーンに投資機会がある。
ストラクチャード・プロダクト
エージェンシーMBS
見通し スプレッドがワイドな水準、ヘッジ調整後キャリーに妙味があるという見方から、モーゲージに対して強気である。しかし、政府支援機関(GSE)改革への懸念やリファイナンス・リスクがあるため、慎重さが必要。
レラティブ・バリュー +/– 米国債よりもMBSに対して強気であり、低クーポンのエージェンシーCMBSを選好。
ノン・エージェンシーRMBS
見通し 住宅市場のファンダメンタルズは健全とみている。住宅価格は妥当とみられる水準で下支えされていることから、向こう数年間は小幅上昇し、下振れリスクは限定的と予想。クレジット基準は記録的に厳格な水準で、新規組成ローンの質は高い。
レラティブ・バリュー + ファニーメイ・フレディ・マックなどのGSEの信用リスク、最近発行されたノン・エージェンシーローン、リパフォーミングローン・証券に対し、強気を維持。
ノン・エージェンシーCMBS
見通し 商業用不動産のファンダメンタルズや景気見通しが良好であることから、CMBS市場に強気姿勢を据え置く。ただし、不動産の種類や市場に応じて、見通しは一様ではないと予想する。
レラティブ・バリュー + デュレーションが短く、ストラクチャーが保守的で、シングルボロワー型ローンや証券化に対し、強気。コンデュイット型では、AAA格の債券に妙味があると考える。
資産担保証券(ABS)
見通し 消費者ローン債権ABSのファンダメンタルズおよびレバレッジ状況に基づき、強気姿勢を据え置く。十分なプロテクションがあるオフザランセクターには投資機会があり、魅力的なリスク・リターンを提供していることが背景。
レラティブ・バリュー +/– オフザランで高格付けのシニアABSセクター(政府保証民間(FFELP)学生ローン、オートディーラー向けフロアプラン、レンタカー等)に対し、強気を維持。
インフレ連動債
米国
見通し インフレ連動債のスプレッド水準はFRBのインフレ目標を下回っており、当社の基本シナリオに基づくと、良好な長期的価値を提供している。ただし、短期的にはキャリーが少なく、ここからインフレ率が低下するリスクもあるため、大量の資金が流入する可能性は低く、長期的なインフレ期待が高まる可能性も低い。
レラティブ・バリュー +/– 短期的には、米国ではインフレ連動債のオーバーウエイトと名目債の戦術的ポジションを組み合わせ、全体のデュレーションを管理する。
欧州
見通し 欧州のブレーク・イーブン・インフレ率スプレッドは、ほとんどの先進国市場のブレーク・イーブン・インフレ率スプレッドと同様に低水準で推移している。2019年の総合インフレ率は平均1.20%と予想しているが、これはスワップ市場とキャッシュ市場が織り込んでいる水準よりも高い。ECBによるインフレ連動債の買い入れは価格の上昇要因になると見ている。
レラティブ・バリュー + インフレ連動債のポートフォリオとグローバルのポートフォリオでは、フランスとイタリアのブレーク・イーブン・インフレ率スプレッドをロングしている。
日本
見通し 日本のブレーク・イーブン・インフレ率スプレッドは0.1%前後まで低下しており、これはフロア・オプション価値をさらに下回る水準である。一方、労働市場の逼迫などを背景に、日本のインフレ率は徐々に上昇し、2020年には1%に達すると予想する。したがって、日本のインフレ連動債は極めて割安であると考える。
レラティブ・バリュー + 日本では名目利回りに対する実質利回りのオーバーウエイトを維持する。
地方債
米国
見通し 短期の地方債のバリュエーションは適正な水準であり、さほど妙味がないが、中長期債にはより妙味がある。地方債市場のファンダメンタルズは全体的に改善しているとの見方を維持。改善の背景には、堅調な需給面、低い失業率、安定的な税収、穏当な歳出案等の要因がある。投資適格の中でも格付けの低いクレジットは、投資適格の地方債インデックスと比べて依然として上昇余地が大きいと見ている。
レラティブ・バリュー + インカムの確保に努めており、運輸、産業開発、及び上下水道などのセクター内で、投資適格の中でも格付けの低い発行体に注目している。状況に応じて、非投資適格の発行体も投資対象としている。イールドカーブのポジショニングは、中長期債を引き続きオーバーウエイトしている。
エマージング債
米ドル建て
エマージング
ソブリン債
見通し 世界のGDP成長率の不透明感はあるが、FRBが最近ハト派的スタンスに方向転換し、米国が他国を大きく上回る成長率に陰りが見えていることは、エマージング市場の財政と資金フローにとって好材料である。テクニカル面では、主要インデックスに占めるエマージング市場のウエイトは依然低いものの、中国や湾岸協力会議加盟国など規模の大きい市場の組み入れ比率が段階的に引き上げられることは、今後エマージング市場の存在感と同市場への投資家の投資意欲の向上に役立つと考える。
レラティブ・バリュー + 一部の投資適格および非投資適格のソブリン債は、依然としてキャリーとトータルリターンの観点から妙味がある。足元でリスクの低い湾岸協力会議加盟国や価格面で妙味のあるフロンティア市場ソブリン債へのエクスポージャーの積み増しを検討しているが、BBB格のソブリン債には余り妙味がない。
現地通貨建て
エマージング債
見通し FRBとECBはハト派姿勢を維持しており、多くのエマージング諸国ではインフレ率が低下しているため、これらの国の中央銀行は利下げを行い、経済活動を支援することが可能となっている。エマージング通貨が安定的から強含みであることから、引き締め政策への圧力は緩和され、そのことがエマージング諸国と先進諸国間の実質金利スプレッドの縮小をもたらすはずである。米国の財政刺激策の効果が消滅し、中国が景気刺激策を再び導入したことも、グローバルの経済成長率が再び足並みを揃えることに寄与すると考える。当社の見方では、こうした要因が積み重なっていることは、現地通貨建てエマージング債の下支え要因となろう。
レラティブ・バリュー + 実質金利が高く、エマージング諸国の中央銀行がハト派寄りになる見通しから、現地通貨建ての金利リスクが最も妙味があるとみている。インドネシア、インド、ブラジルやロシアなど、インフレが落ち着いていて安定した国々の現地通貨建て債券を選好する。
エマージング社債
見通し 社債については中立の評価をしており、これは、エマージング社債セクターの堅調なファンダメンタルズ、保守的なバランスシート管理、及び良好な需給環境が明らかに悪化しているとの判断に基づくものではなく、エマージング市場のリスク/リターン特性が均衡しているとの判断を反映した評価である。市場全体としては旺盛な債券発行が見られるが、中国を除くエマージング市場における社債の正味発行額は極めて低く、需給関係は良好である。
レラティブ・バリュー +/- 高格付志向のマンデートには、エマージングの投資適格社債は、スプレッドの厚さ、デュレーションの短さ、BBB格社債の需給面が良好なことから、米国投資適格社債に対して相対的に妙味がある。ハイ・イールド社債については、資金調達に対する不安の少ない国で事業を行っているBB格の企業や、外貨収入を得ている企業を選好している。
見通し レラティブ・バリュー
投資適格社債
米国 各国中央銀行による緩和的な金融政策の継続、世界中でのマイナス利回りの増加を踏まえ、年末に向けてリスク資産を保有することが望ましいと考える。米国投資適格社債インデックスのスプレッドは7月末に102bpまで縮小したが、貿易摩擦の深刻化を受け、8月には再び拡大。食品・飲料、ヘルスケア/製薬、自動車セクターに対して慎重な見方を維持する。 +/– 銀行、エネルギー、金属・鉱業などのセクターを引き続き注目している。これらのセクターのファンダメンタルズは継続して堅調、また関税関連リスクによる影響を受けにくく、格付け会社による一層の格上げが見込まれる。
欧州 欧州投資適格社債のファンダメンタルズはある程度堅調であり、銀行のファンダメンタルズは改善。マイナス利回りの環境が続き、ECBが社債購入プログラムを再開する中、投資適格社債に対して健全な需要が存在する。一方、特に米国の発行体を中心に、新規発行が急増。低金利環境を踏まえると、バリュエーションは魅力的だが、過去の水準からは依然として割高。 +/- 全体的に慎重なポジショニングを維持。公益セクターや景気循環セクターの銘柄よりも、金融やREITセクターの銘柄を選好。
オースト ラリア 収益力が堅調な状況でも経営陣がバランスシートに対して保守的な姿勢を維持しているため、企業ファンダメンタルズは依然良好。新規発行と満期が2019年末まで限定的である見通しも需給面を後押しするだろう。 + 金融、REITや公益セクターの中でも規制条件を満たしている事業のオーバーウエイトを維持。スプレッドリスクを抑制するためデュレーションは短めとする。
ハイ・イールド社債
米国 安定した企業ファンダメンタルズ、良好な需給環境、及びFRBの緩和姿勢などを背景にスプレッドがさらに縮小し、バリュエーションは適正水準に近づいた。世界経済の減速、貿易摩擦、及び新規発行市場の需給悪化などが懸念されるため、低格付けの発行体に対しては慎重な姿勢を維持。 +/- 豊富な資産を有するサブ・セクターや、資本市場へのアクセスを確保している企業に投資妙味があると見ている。新規発行市場において、明確なプラス要因のある銘柄を厳選して購入している。CCC格以下の債券のアンダーウエイトを維持。
欧州 欧州の経済環境は悪化しており、ファンダメンタルズにも影響が出始めている。マイナス金利政策が導入されていることを踏まえると、需給環境は依然として良好だが、割安感は低下している。借り換え目的の新規発行が多く、新発債の格付けは概ねBB格及びB格となっている。今後もこうした傾向が続き、結果としてCCC格の発行が減少すると予想する。 +/– 格付け見通しが「ネガティブ」の企業が増加しており、発行体間で格差が拡大している。新発債及びセカンダリー市場の投資機会に対してオポチュニスティックなアプローチを取る。
バンクローン
米国 CLOの組成によって引き続きバンクローンの需要が支えられると予想する。その結果、より格付けの高い銘柄に対して強い買い需要が続くと見込まれる。金利が安定するか、またはFRBがさらにハト派寄りの姿勢を示した場合、バンクローンに個人投資家の資金が流入する可能性がある。キャリートレードの対象としてバンクローンは引き続き魅力的。CLOビークルからの需要、個人投資家の資金流入、及び低水準の新規発行により、価格の上昇が見込まれる。 + 今後3ヶ月にわたりB格債券の大量発行が見込まれるため、魅力的な水準で購入する機会が提供されると見ている。大量の新規発行を予想する報道があるものの、実際の新規発行は予想を下回ると考えられ、このことはセカンダリー市場の上昇要因になる可能性がある。
CLO
米国 CLOの供給状況を踏まえ、スプレッドはレンジ内での推移を予想。市場コンセンサスでは大量の供給が予想されているが、投資家の忍耐がCLOの組成の減少につながり、発行体にとって厳しいアービトラージ環境となった場合、実際には全く正反対の状況となる可能性もある。AAA格とAA格のCLOに対しては引き続き旺盛な需要が存在している。CLOの全体的な資本構成は、フォワードカーブを調整した後であっても、格付けが同等の金融商品と比較して割安である。 + 短期のAAA格のCLOを選好しており、スプレッド・デュレーションの長いAAA格の新発債と価格コンベクシティのバーベル取引に注目している。
低格付けのメザニン・トランシェ(BBB格/BB格)では、イールドカーブの短期ゾーンに投資機会がある。
ストラクチャード・プロダクト
エージェンシーMBS スプレッドがワイドな水準、ヘッジ調整後キャリーに妙味があるという見方から、モーゲージに対して強気である。しかし、政府支援機関(GSE)改革への懸念やリファイナンス・リスクがあるため、慎重さが必要。 +/– 米国債よりもMBSに対して強気であり、低クーポンのエージェンシーCMBSを選好。
ノン・エージェンシーRMBS 住宅市場のファンダメンタルズは健全とみている。住宅価格は妥当とみられる水準で下支えされていることから、向こう数年間は小幅上昇し、下振れリスクは限定的と予想。クレジット基準は記録的に厳格な水準で、新規組成ローンの質は高い。 + ファニーメイ・フレディ・マックなどのGSEの信用リスク、最近発行されたノン・エージェンシーローン、リパフォーミングローン・証券に対し、強気を維持。
ノン・エージェンシーCMBS 商業用不動産のファンダメンタルズや景気見通しが良好であることから、CMBS市場に強気姿勢を据え置く。ただし、不動産の種類や市場に応じて、見通しは一様ではないと予想する。 + デュレーションが短く、ストラクチャーが保守的で、シングルボロワー型ローンや証券化に対し、強気。コンデュイット型では、AAA格の債券に妙味があると考える。
資産担保証券(ABS) 消費者ローン債権ABSのファンダメンタルズおよびレバレッジ状況に基づき、強気姿勢を据え置く。十分なプロテクションがあるオフザランセクターには投資機会があり、魅力的なリスク・リターンを提供していることが背景。 +/– オフザランで高格付けのシニアABSセクター(政府保証民間(FFELP)学生ローン、オートディーラー向けフロアプラン、レンタカー等)に対し、強気を維持。
インフレ連動債
米国 インフレ連動債のスプレッド水準はFRBのインフレ目標を下回っており、当社の基本シナリオに基づくと、良好な長期的価値を提供している。ただし、短期的にはキャリーが少なく、ここからインフレ率が低下するリスクもあるため、大量の資金が流入する可能性は低く、長期的なインフレ期待が高まる可能性も低い。 +/– 短期的には、米国ではインフレ連動債のオーバーウエイトと名目債の戦術的ポジションを組み合わせ、全体のデュレーションを管理する。
欧州 欧州のブレーク・イーブン・インフレ率スプレッドは、ほとんどの先進国市場のブレーク・イーブン・インフレ率スプレッドと同様に低水準で推移している。2019年の総合インフレ率は平均1.20%と予想しているが、これはスワップ市場とキャッシュ市場が織り込んでいる水準よりも高い。ECBによるインフレ連動債の買い入れは価格の上昇要因になると見ている。 + インフレ連動債のポートフォリオとグローバルのポートフォリオでは、フランスとイタリアのブレーク・イーブン・インフレ率スプレッドをロングしている。
日本 日本のブレーク・イーブン・インフレ率スプレッドは0.1%前後まで低下しており、これはフロア・オプション価値をさらに下回る水準である。一方、労働市場の逼迫などを背景に、日本のインフレ率は徐々に上昇し、2020年には1%に達すると予想する。したがって、日本のインフレ連動債は極めて割安であると考える。 + 日本では名目利回りに対する実質利回りのオーバーウエイトを維持する。
地方債
米国 短期の地方債のバリュエーションは適正な水準であり、さほど妙味がないが、中長期債にはより妙味がある。地方債市場のファンダメンタルズは全体的に改善しているとの見方を維持。改善の背景には、堅調な需給面、低い失業率、安定的な税収、穏当な歳出案等の要因がある。投資適格の中でも格付けの低いクレジットは、投資適格の地方債インデックスと比べて依然として上昇余地が大きいと見ている。 + インカムの確保に努めており、運輸、産業開発、及び上下水道などのセクター内で、投資適格の中でも格付けの低い発行体に注目している。状況に応じて、非投資適格の発行体も投資対象としている。イールドカーブのポジショニングは、中長期債を引き続きオーバーウエイトしている。
エマージング債
米ドル建て
エマージング
ソブリン債
世界のGDP成長率の不透明感はあるが、FRBが最近ハト派的スタンスに方向転換し、米国が他国を大きく上回る成長率に陰りが見えていることは、エマージング市場の財政と資金フローにとって好材料である。テクニカル面では、主要インデックスに占めるエマージング市場のウエイトは依然低いものの、中国や湾岸協力会議加盟国など規模の大きい市場の組み入れ比率が段階的に引き上げられることは、今後エマージング市場の存在感と同市場への投資家の投資意欲の向上に役立つと考える。 + 一部の投資適格および非投資適格のソブリン債は、依然としてキャリーとトータルリターンの観点から妙味がある。足元でリスクの低い湾岸協力会議加盟国や価格面で妙味のあるフロンティア市場ソブリン債へのエクスポージャーの積み増しを検討しているが、BBB格のソブリン債には余り妙味がない。
現地通貨建て
エマージング債
FRBとECBはハト派姿勢を維持しており、多くのエマージング諸国ではインフレ率が低下しているため、これらの国の中央銀行は利下げを行い、経済活動を支援することが可能となっている。エマージング通貨が安定的から強含みであることから、引き締め政策への圧力は緩和され、そのことがエマージング諸国と先進諸国間の実質金利スプレッドの縮小をもたらすはずである。米国の財政刺激策の効果が消滅し、中国が景気刺激策を再び導入したことも、グローバルの経済成長率が再び足並みを揃えることに寄与すると考える。当社の見方では、こうした要因が積み重なっていることは、現地通貨建てエマージング債の下支え要因となろう。 + 実質金利が高く、エマージング諸国の中央銀行がハト派寄りになる見通しから、現地通貨建ての金利リスクが最も妙味があるとみている。インドネシア、インド、ブラジルやロシアなど、インフレが落ち着いていて安定した国々の現地通貨建て債券を選好する。
エマージング社債 社債については中立の評価をしており、これは、エマージング社債セクターの堅調なファンダメンタルズ、保守的なバランスシート管理、及び良好な需給環境が明らかに悪化しているとの判断に基づくものではなく、エマージング市場のリスク/リターン特性が均衡しているとの判断を反映した評価である。市場全体としては旺盛な債券発行が見られるが、中国を除くエマージング市場における社債の正味発行額は極めて低く、需給関係は良好である。 +/- 高格付志向のマンデートには、エマージングの投資適格社債は、スプレッドの厚さ、デュレーションの短さ、BBB格社債の需給面が良好なことから、米国投資適格社債に対して相対的に妙味がある。ハイ・イールド社債については、資金調達に対する不安の少ない国で事業を行っているBB格の企業や、外貨収入を得ている企業を選好している。