市場レビュー要約
当社は、ディスインフレ傾向が確実に定着しており、景気は減速する可能性が高いものの、米国の景気後退は回避可能とみています。スプレッド・セクターは反発しているものの、不確実性が残る中、引き続き銘柄選択が重要であると考えます。ここでは、当社の現時点の総合的な見解を要約してご提供しています。*

 

経済成長


インフレ見通し

弊社の見解
  • 米国:経済成長はさらに減速が予想されるものの、依然景気後退は回避できると予想する
  • 欧州:逼迫が進む信用環境を背景に、景気は下振れするリスクがより大きいとみている。
  • 英国:先行指標から判断して、景気は低迷が続くと予想する。
  • 中国:追加的な政策支援により、政府の成長目標は軌道に乗るとみている。
  • 米国:ディスインフレ傾向が続くと予想されるが、インフレ率がFRBの目標水準である2%まで低下するかは不透明。
  • 欧州:サービスインフレのピークアウトもあり、インフレ率は着実に低下し続けると予想される。
  • 中国:成長減速が続いており、世界経済にとって緩やかなデフレ要因となっている。
根拠
    米国の成長減速は、大きな悪影響を及景気抑制的な金融政策、消費への逆風、労働市場における逼迫緩和の初期兆候、財政刺激効果の減退などが成長を阻害している。
    世界的にインフレ率の低下傾向が続いている。
 

金利動向


金融政策

弊社の見解
  • 金利は絶対水準で旨味があり、リスクオフ局面では分散効果が期待できる。ディスインフレ傾向の持続や景気減速を背景に、足元で高止まりしている金利は徐々に低下すると予想する。
  • 2024年を通じ金利が高止まりするとの見方が市場やFRBのドット・プロットに織り込まれている。この見方が多少なりとも反転すれば、債券市場にとってプラス材料となるだろう。
  • 各国中央銀行は概ね引き締めサイクルのピークに近づいているが、ディスインフレ傾向にもかかわらず、より長期にわたり高金利を維持する可能性がある。
  • FRBの政策を最終的に動かすのは、実際の経済統計や景気状況であり、予想金利(ドット・プロット)ではない。
根拠
    成長見通しが引き下げられていることを勘案すると、長期的中立金利の市場予想も高すぎる可能性がある。
    引き続きインフレ抑制が先進国の中央銀行の最優先課題である。
 

財政政策


地政学

convictions
  • 財政刺激策により今年の景気は浮揚し、経済は底堅く推移した。
  • 政治的分断が制約となり、新たな大規模財政刺激策実施の可能性を狭めると予想している。
  • ロシア・ウクライナ紛争などの影響によるサプライチェーンの混乱と価格高騰がインフレ率を押し上げたが、現在は沈静化しつつある模様。
  • 10月のイスラエルでのテロ攻撃から生じる紛争の影響を引き続き注視する。
根拠
    財政政策は短期的には景気を下支えするものの、その効果は明らかに薄れつつある。
    地政学的な不確実性と関連するリスクが、特に社債を中心とするスプレッド・セクターの見通しを不透明にしている。