市場レビュー要約
中央銀行に緩和余地をもたらすディスインフレの進行、景気後退を回避する底堅い米国景気、グローバル経済の減速などを背景に、社債などのスプレッド・セクターやエマージング市場及びストラクチャード・クレジットに好ましい投資環境であるとみています。ここでは、当社の総合的な見解を要約します。

 

経済成長


インフレ見通し

弊社の見解
  • 米国:好調なペースから減速する可能性が高いものの、景気後退は回避される可能性が高い。
  • 欧州:横ばいから1%程度と非常に鈍い成長となる見込み。
  • 中国:標準水準である4~5%を下回る成長を予想。
  • グローバル全体:鈍化の一方、全体としてはプラス成長を維持。
  • 世界的には、先進国および新興国で全般に明確なディスインフレ傾向にあり、欧州や中国でもデフレ圧力がみられる。
  • 米国ではインフレ率が緩やかに上昇、1月から2月にかけてやや加速したが、これは一時的なものと思われる。当社は、インフレ率は連邦準備制度理事会(FRB)の目標2%に向け順調に低下しているとみている。
根拠
    グローバル経済は鈍化も、主要国では緩やかながら、依然として堅調な成長が続いている。
    インフレ率は世界的に幅広く低下しており、各国中央銀行に将来的に政策を緩和する余地が生じている。
 

金利動向


金融政策

弊社の見解
  • 長期中立金利の市場予想は、パンデミック前と比較して約200ベーシスポイント(bps)上昇し、名目ベースでは4%、実質ベースでは2%に近づいている。
  • 米国ではFRBが2024年後半まで利下げを行わないことを示唆する一方で、新興国の中央銀行は既に利下げを開始している。
  • Fedは、米国経済が底堅い一方でインフレは下振れ基調にあるとして、利下げの機会があるとみている。
  • 英国ではイングランド銀行(BoE)が、FRBに歩調を合わせて、あるいはFRBに先んじて利下げに踏み切る可能性がある。
  • 日本銀行は、賃金上昇とインフレ率の上昇により、マイナス金利とイールドカーブ・コントロールを解消。
根拠
    中央銀行は引き締めから緩和に軸足を移すと予想され、2024年には金利が低下する可能性がある。
    インフレ率が目標水準に近づくにつれて、FRBを始めとする各中央銀行は今後数カ月内に利下げに踏み切ると予想。
 

米国大統領選挙


地政学

convictions
  • バイデン大統領とトランプ前大統領の両候補者が実施する可能性のある税制・関税政策には大きな違いがあり、共和党は2017年の減税を延長する可能性が高く、民主党はその失効を容認する可能性がある。
  • 関税政策も争点であり、トランプ氏は産業政策の手段として関税を支持する一方、バイデン大統領は特定産業への補助金を支持している。
  • ニアショアリングやフレンドショアリングなど、グローバリゼーションの再構築は、各国が潜在的な敵対国を回避するためにサプライチェーンの依存関係を見直すなど、地政学的な考慮の影響を受けている。
  • ラテンアメリカを中心とするエマージング諸国は、グローバル・サプライチェーンの進化から恩恵を受けると期待される。
根拠
    今回の大統領選は経済政策が主眼ではなく、社会問題や候補者の人格に焦点が当てられており、経済への影響は移民政策などの間接的なものとなるだろう。
    地政学的状況の不確実性により、引き続き市場のボラティリティは上昇しており、10年前と比較して、グローバル環境のより重要な要素となっている。