投資原則として、「分散投資」が廃れることは決してない。しかし、今日の低金利環境下において、債券は従来型の資産配分の枠組みで引き続き分散効果を発揮するのだろうか? 債券を従来と同様に保有すべき理由はあるのだろうか?

この2つの疑問に対する答えは、明確に「イエス」である。

債券は今日の低利回り環境下でも引き続き重要な役割を担っている

多くの投資家は、継続的に生じる支出に対応し、その他の負債を返済するため、目標リターンを達成し続ける必要があるが、現在の市場のバリュエーションや世界的な低金利環境を勘案すると、こうした目標の実現には高いハードルがあると考えられる。また、こうした目標リターンの達成を目指すと同時に、堅実な分散投資を持続すべく適切な資産構成を選択していくという課題に直面している。

こうしたニーズや課題に適切に対応するためには、投資家が投資判断を行う背景を綿密に理解する必要があり、さらに、その投資家の投資判断の背景は常に変化していく。今日、我々を取り巻く環境は極めて不確実性が高い。新型コロナウイルスのパンデミックに世界的に取り組んでいることにとどまらず、地政学的な緊張(例:米中貿易摩擦、ブレグジット、中東問題)やデフレ/ディスインフレ圧力(低成長に過剰債務が加わった結果)もある。米国連邦準備制度理事会(FRB)を含め、世界の中央銀行は主にパンデミックで落ち込んだ経済を刺激する手段として金利を低位に維持する金融緩和政策を推進している。以下の引用は現在の金融政策のスタンスを概括している。


「我々は利上げについて考えることすら考えていない。我々は経済が必要とする支援を提供することに完全にフォーカスしている。我々は経済には超緩和的な金融政策や利用可能なあらゆる手段の活用が長期にわたって必要だと考えており、もはや必要ではないと十分に確信が持てるまであらゆる政策手段を講じることに強くコミットしている」
~パウエルFRB議長


このような不確実性の高い状況が長期間続くとすれば、金融市場のボラティリティの上昇が予想され、また、緩和的な金融政策が続くとすれば、リスク・フリー・レートが低位に留まることも予想される。しかし、一方で、ワクチン接種が成功し、世界の景気・物価見通しが突然リセットされるシナリオを描くこともできる。この場合も市場ではボラティリティの上昇が予想され、米国債利回りは短期的に上昇し(イールドカーブはスティープ化)、信用スプレッドは新たな金利環境に適応する中でバリュエーションの観点から拡大するであろう。

以下に投資家のポートフォリオにおける債券保有の重要性を5つ挙げる。

債券投資においてはアクティブ運用が鍵となる

ここまで、5つの理由によって債券が資産配分やポートフォリオ構築上重要な役割を果たすことを改めて示してきたが、債券のパッシブ運用を通じたアプローチはリスクが高く、限界があることはいくら強調しても足りない。パッシブ運用の指数連動型商品はデュレーションリスクが高い。例えば、グローバル総合インデックスのデュレーションは7年超で、ブルームバーグ・バークレイズ米国総合インデックスや投資適格社債インデックスのデュレーションも大きく伸びている。また、こうした時価総額加重型の指数における最大の構成銘柄は最も借り入れの多い発行体となる。最も多く債務を抱えている発行体の債券を購入して保有しなければならないパッシブ・マネージャーを投資家が採用することは、感覚的やや受け入れがたいのではないだろうか。パッシブ・マネージャーは、ポートフォリオ構築に際し、アクティブ・マネージャーのようにデュレーション、イールドカーブ、セクター、銘柄の選好を具現化できない。

Fixed Income Exihibit 7

例えば、図7は新型コロナウイルスによる2020年3月のスプレッド拡大の規模を示している。当社はファンダメンタルズやバリューを重視する投資家として、2020年第2四半期(4月~6月期)の初めに多数のセクターで極めて魅力的な投資機会に着目した。当時、当社は発行市場での大幅な新発プレミアムや流通市場での魅力的なスプレッド水準を考慮し、投資適格債の積み増しを行った。FRBがクレジット市場の安定化のため新たな流動性支援策を発表したことを受けて、当社のポジションは大きな恩恵を享受した。

今日の債券利回りは史上最低水準に近いが、投資家が保有する債券が28年にわたって年率150ベーシス・ポイントの超過リターンを創出することができるとすれば、累積リターンは相当の規模になる(図8参照)。債券の期待収益率は現在かなり小幅であるため、リターンを押し上げる源泉を求めることがこれほどまでに重要な時期はない。今こそ債券のアクティブ運用が強みを発揮する時である。

Fixed Income Exihibit 8

結論

世界中の投資家が持続的な収入源を求めて競うなか、債券は記録的な低利回りにありながらもインカムゲインをもたらし続けている。金融市場において価格水準が急激にリセットする可能性は常にあり、債券資産(米国債やクレジット資産も含め)も例外ではないため、引き続き注視が必要である。

債券は投資家にとって引き続き極めて重要である。その理由は、(1)分散投資に適した特性、(2)効率的なリスク調整後リターン、(3)トータル・リターンの(市場参加者の一部がその能力を疑問視している場合でさえも)重要な源泉、(4)厳しい市場環境でもドローダウンリスクを抑制する効果、(5)今日の低利回り環境で切望されている持続的なインカムゲインの提供、にある。

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